中国初となる浮体式太陽光発電プラットフォームの輸送開始
2024年9月12日、中国初となる耐波性浮体式太陽光発電プラットフォーム「黄海一号」が完成し、輸送船「九凌融创98」に積まれ輸送が開始されました。山東省青島市を出発した「黄海一号」は、山東省海陽市の南に位置する華能山東半島南4号洋上風力発電プロジェクト(Shandong Peninsula South 4 Offshore Wind Project)のエリア内に試験設置される予定。
「黄海一号」の設計から完成まで1年を要したと報告されており、中国で独自に設計・建造された初の耐波性浮体式太陽光発電プラットフォームだという。
”中国初” と中国メディアで紹介されている「黄海一号」ですが、半潜水式のプラットフォームに太陽光パネルを搭載した浮体式太陽光発電プラットフォームは2023年に中国で建造されています。したがって、浮体式の中でも細かく分類すると今回の仕様のものが初になるということなのかも。無理矢理に初という冠詞を付けているようにも感じる。
設置時は水面上7.5mの高さ
平面的には六角形の形状でトラス構造となっており、プラットフォーム下部にはプラスチック製の浮力ブロック64個が取り付け、従来のプラットフォームと比較して重量を約25%削減。
プラットフォームの長さは25m以上、総重量は360トン以上、面積は標準的なバスケットボールコート4面分に相当する約1,624m2。気になる高さは全高9mで設置時は海面上7.5mの高さになり、極端な状況下でも波が太陽光発電プラットフォームに押し寄せることはないと説明されています。
ただ設置位置を見る限り、大時化の時は場合によって上部のパネル部分まで波浪の影響が考えられるような気もしますし、喫水が小さいためプラットフォーム自体が転覆してしまう可能性も考えられるため、かなり不安。浮力についてもバラストによる調整が出来る仕様ではないため、荒天が予想される時の対策もとれない。大丈夫でしょうか・・。
設置海域へは半潜水式ではない輸送船を使用
完成した耐波性浮体式太陽光発電プラットフォーム「黄海一号」を積んでいる輸送船「九凌融创98」は船体形状を見る限り半潜水式ではないようなので、設置場所ではクレーン船を使用して吊り取って進水させるものと思われる。甲板上にはプラットフォームの他に、6つの高把注力アンカーと複数の接続用チェーンが積まれている。
輸送船「九凌融创98」(JIU LINGRONGCHUANG98)のAIS情報を確認すると、9月12日12時頃に山東省青島市を出発し、およそ12時間後の9月13日に日付が変わる頃、設置エリア付近に到着。
実際、どのようにして設置するのか不明ですが、AISで確認できる範囲では600トン吊り「海电运维801」、600トン吊り「瓯洋003」、2,500トン吊り「海峰1001」というSEP船3隻が付近にいました。設置予定のプラットフォーム重量は約360トンということなので能力的には3隻とも設置可能ですが、付近には他の洋上風力発電所設置エリアが近接しており、この3隻が浮体式太陽光発電プラットフォーム「黄海一号」の設置作業に関係しているかどうかは分かりません、あくまでも参考情報として。
よく読まれている記事