ULSTEINが海底作業に卓越した多目的ケーブル敷設船を発表
ノルウェーの造船および船舶設計などをおこなうULSTEINは、洋上風力や石油・ガスプラットフォーム関連のケーブル敷設、サクションパイル設置などの多目的な海底作業に卓越した船体設計「ULSTEIN SX232」「ULSTEIN SX239」を発表。
ULSTEINは自社ウェブサイトに掲載している記事の中で、今回発表した船体設計の開発経緯について次のように述べています。海洋エネルギー市場は活況を呈しており、厳しい環境での施工、そして複雑なタスクを実行できるsubsea vessels(海底作業を施工する船舶)の需要も同様に高まっているとした上で、洋上風力発電所や石油・ガスプラットフォームの設置、保守、廃止のいずれの場合でも、subsea vesselsは柔軟性、効率性、信頼性を備えている必要があるという。
主な特徴
型式 | SX232 | SX239 |
長さ | 140m | 125m |
幅 | 28m | 25m |
甲板面積 | 2,000m2 | 1,300m2 |
クレーン | 400トン | 250トン |
宿泊設備 | 130人 | 180人 |
ULSTEINの船体といえばX-Bowと呼ばれる船首形状が有名ですが、今回発表された「ULSTEIN SX232」、「ULSTEIN SX239」という2つの船体設計はTWIN X-STERNを搭載した最初のsubsea vesselだという。
そして、TWIN X-STERNを搭載したCSOVは2023年1月にトルコのTersan Shipyardですでに建造が開始されていますが、外観で大きく異なるのは船尾側の甲板形状。これまでのTWIN X-STERNおよびX-STERNを搭載した船体とは違い、船尾部分が甲板スペースを大きく確保できる形状に進化しているため、TWIN X-STERNの効果を残したまま2,000m2を超える広大なフラットデッキを実現しているようです。
ケーブル敷設、サクションパイル設置など多用途で活躍
X-BOWとX-STERN、そしてTWIN X-STERN
X-BOW
X-BOWはinverted bow(逆船首)と呼ばれる船首の形をコンセプトとして設計され、水切角はあるもののほぼ垂直に切り立ち、斧のような外観が特徴的な船首。荒天航行時に船首が水面上に出てしまう事が少ないのでスラミングと呼ばれる船体が水面に叩きつけられる現象が起こりにくい。さらに、波による速度損失が低減され、速力の向上や燃料消費の削減につながるという効果がある。
出典:ULSTEIN
X-BOWを最初に導入したのは、2006年に建造されたAHTS(Anchor Handling Tug Supply)というアンカーハンドリング・タグサプライ船の「Bourbon Orca」。
全長83.6m、幅18.5m、総トン数4,615トン、載貨重量トン数3,180トン。
X-STERN
X-STERNは、X-BOWの効果を船尾側に導入したもの。従来の船型に比べ後進時のスラミングを大幅に低減させる効果があるそうです。乾舷が高く水面との距離が大きいので安全である反面、その形状からアンカーを取り扱う作業をおこなう船種などには採用できない。
出典:ULSTEIN
X-STERNが初めて導入されたのは2016年に建造されたSOV船「WINDEA LA COUR」。X-BOWとX-STERNの両方を採用している。
全長88m、幅18m、総トン数5,897トン、載貨重量トン数3,200トン。
TWIN X-STERN
出典:ULSTEIN
X-BOWとX-STERNに続くTWIN X-STERNという革新的なデザイン。名前の通り、X-STERNが前と後ろでついになった構造。操作性と燃費を向上させる効果があるそうです。
TWIN X-STERNを初採用したCSOV「SX216」は、2023年1月にトルコのTersan ShipyardでActa Marine向けに建造が開始されており、2024年第2四半期に完成・引き渡し予定。
TWIN X-STERN搭載の次世代CSOV「SX216」
種別 | SX216 |
長さ | 89.9m |
幅 | 19.2m |
喫水(最大) | 5.9m |
載貨重量トン数 | 2,200トン |
速力 | 12.8ノット |
宿泊設備 | 135人 |
出典:ULSTEIN
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