5,500トン吊りの起伏式起重機船「二航卓越」ジブ設置
2024年7月17日、上海振华重工(ZPMC)が中交第二航務工程局有限公司向けに建造している5,500トン吊りの起伏式起重機船「二航卓越」(Er Hang Zhuo Yue)のジブ設置がおこなわれました。
起重機船「二航卓越」の前方に架台を載せた半潜水式バージを配置して、2基のジブを同時に設置。最終的に2基のジブを設置した状態だと安定しますが、1基目のジブを設置した段階ではジブ重量で半潜水式バージの船体が傾くのでバラスト調整で傾きを調整しながら設置作業を進める必要がある。中国の記事では、ジブ2基の設置をバージ1隻で支持する施工方法により、建造コストを効果的に抑えることが出来たと報じられています。
起重機船「二航卓越」の船体寸法は長さ165m、幅52m、深さ11m。起伏式のジブ2基を搭載しており、最大吊り上げ能力は5,500トン。日本の大型起重機船と似ていますが、2,000kWのアジマススラスター2基と800kWのサイドスラスター2基を備えています。
船名 | 二航卓越 |
クレーン能力 | 5,500トン |
長さ | 165m |
幅 | 52m |
深さ | 11m |
出典:China Classification Society
大きな特長はエアドラフト47m、最低喫水4.5m
全方位およびサイドスラスターを搭載している起伏式起重機船という珍しい機能の他にもエアドラフト47m、最低喫水4.5mといった特長があるようです。
エアドラフトとは水面上に出ている起重機船の高さを指していて、ジブを倒した状態にすると水面からの高さを47mに抑えることが出来る。これにより、通常の状態では通航できない桁下制限の橋を通過することが可能になり、川の上流側で橋梁工事の橋桁設置作業などを施工できる範囲が広がるというメリットがあります。
さらに、通常の計画喫水は6.5mですが船体にポンツーン型の浮力補助装置を装着することで喫水を4.5mにすることが出来るという。この装置には喫水を抑えるという効果に加えて、施工時に船体の横揺れを低減させる効果もあるそうです。
建造タイムライン
- 2023年5月建造契約調印
- 8月鉄鋼切断式(First Steel Cutting Ceremony)
- 9月
- 12月起工式(Keel Laying Ceremony)
- 2024年6月
- 7月ジブ設置
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