世界最大の半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」が大型化

出典:Boskalis
2025年2月28日、Boskalisは所有する半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」の船体を大型化する改修作業が完了したことを発表しました。
改修作業を実施する前の半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」は、長さ275m、幅78.75mで貨物を搭載する甲板スペースは、275m×70m。半潜水式運搬船として、改修前の時点で既に世界最大でしたが、さらに船体を大型化。BoskalisのLinkedIn投稿には改修作業を完了した「BOKA Vanguard」の船体が公開されており、左舷側にある2基のアイランドと呼ばれる半潜水時に海面上へ出る部分が拡幅されているのが確認できます。
「BOKA Vanguard」の船体改修作業がおこなわれたのは中国の浙江省舟山市。2024年9月17日に鉄鋼切断式がおこなわれ、改修作業に着工。船幅78.75mを90.75mに拡幅するため、12m×50mという大きさの船外プラットホームを増設すると報じられていました。改修後の船体を見るまでは船体拡幅がどのように実施されるのか分かりませんでしたが、アイランド部分が外側に拡幅されているのを見て納得。増設で使用した部材の総重量は1,400トン。
「BOKA Vanguard」は2024年12月に火災で損傷した自動車運搬船「フリーマントル・ハイウェイ」(FREMANTLE HIGHWAY)をオランダから中国へ輸送した後に浙江省舟山市へ移動して改修作業を実施。AIS情報によると、2025年2月4日に改修作業をおこなったとみられるドックを出渠していました。
長さ335m、幅75mの浮きドックを輸送予定


Boskalisの掲載情報では、改修後の半潜水式運搬船「BOKA Vanguard」を使用して将来的に幅75mの貨物輸送が可能になるという説明しかされておらず、船体を拡幅しないと輸送できない貨物が何なのかは具体的に記載されていません。
気になるので調べてみると、報道されている情報では長さ335m、幅75mの浮きドックを輸送予定であることが報じられています。船体の前後は遮るものが無いため、これまでにも船体長さの275mを超える貨物を輸送した実績がいくつもありますが、幅方向へのオーバーハングはアイランドが干渉するため物理的に無理だったみたい。
公開された画像の甲板に敷かれている輸送用の架台が長さ335m、幅75mの浮きドックを輸送するために設置されたのかは不明ですが、架台を見る限り次に予定されている輸送貨物は相当な大きさであることは間違いなさそう。AIS情報によると、中国を出発した「BOKA Vanguard」の仕向港はトルコ北東部にあるマルマラ海に面したヤロヴァになっており、到着予定は2025年4月18日。
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