台湾の大彰化2b&4施工に向け「Wind Maker」台中港到着

2025年3月18日、台湾の「Greater Changhua 2b and 4 offshore wind farms」で風力タービン設置作業をおこなうCadelerのM-class1隻目となる2,600トン吊りSEP起重機船「Wind Maker」が台中港に到着しました。
「Greater Changhua 2b and 4 offshore wind farms」は、台湾中西部の彰化県沖にSiemens GamesaのSG 14-236 DDを66基設置する計画で総発電容量は920MW。風力タービン基礎にはサクションバケットジャケットを採用しており、全66基のうち半数の33基をPetrovietnam Technical Services Corporation(PTSC)、残る33基を韓国のHSG Sungdongがそれぞれ建造・供給する予定。サクションバケットジャケットの高さは約80m、1基当たりの重量は約2,300トン。
アジア太平洋地域で初となるサクションバケットジャケットの風力タービン基礎が特徴的ですが、SEP起重機船「Wind Maker」が設置するのは出力14MWの風力タービン66基。
一度に14MW風力タービン4基分の部材を自船に積み込み


出典:Ørsted
SEP起重機船「Wind Maker」による風力タービン設置作業に向けた準備として、部材を積み見込むための架台を甲板上に設置。Ørstedの掲載情報によると、一度に14MW風力タービン4基分の部材を自船に積み込んで設置場所と拠点港を往復しながら設置作業を進めるという。
甲板中央部分にはナセルと地組したタワーをそれぞれ4基分積み込むための架台を設置しているのが確認できます。ブレードは1基当たり3枚なので4基分で12枚。ブレードラックはメインクレーン後方の船尾部分に設置されており、1段3枚で4段になっている巨大ブレードラックにより12枚のブレードを積み込み。

ブレードラックの張り出し量が想像以上で少しビックリ😲。DNVに登録されている船体長さは153mですが、Cadelerの掲載情報によるとジブレストしたクレーンブームを含む全長は194m。この全長194mにブレードラックが含まれているのかは不明ですが、船体から張り出している部分が長いことから資機材積み込みのため港内で離着桟する時に接触事故のリスクを考えると操船は容易では無さそう。
2024年11月にスペインのNavantia造船所でアップグレード作業をおこなっていたFred. Olsen WindcarrierのSEP起重機船「Brave Tern」が造船所のジブクレーンと衝突して倒壊させるという事故が起きています。
2025年1月に引き渡しされたSEP起重機船「Wind Maker」
CadelerのM-class1隻目となる2,600トン吊りSEP起重機船「Wind Maker」は、韓国のHanwha Ocean(旧 大宇造船海洋:DSME)で建造され、2025年1月に引き渡しがおこなわれたばかりの新造船。
「Wind Maker」の船体寸法は長さ153m、幅56m、深さ11.5m。船体設計は「NG-16000X」と呼ばれるGusto MSCによる設計を採用。メインクレーンはHuisman製で最大吊り上げ能力2,600トン、揚程は不明。甲板面積は5,400m2でDYNPOS(AUTR)(IMO Class2相当)のダイナミックポジショニングシステムを搭載し、最大作業水深は65m。
引き渡しがおこなわれた時点ではCadelerのウェブサイトに詳細情報は掲載されていませんでしたが、現在は掲載されています。
船名 | Wind Maker |
クレーン能力 | 2,600トン |
揚程 | 不明 |
長さ | 153m |
幅 | 56m |
深さ | 11.5m |
レグ長さ | 109m |
最大作業水深 | 65m |
推進装置 | (船首)格納式アジマススラスター 3.5MW×2基 (船首)トンネルスラスター 3MW×1基 (船尾)アジマススラスター 3.5MW×4基 |
速力 | 9.5ノット |
DPS | DYNPOS(AUTR) (IMO Class2相当) |
甲板面積 | 5,400m2 |
宿泊設備 | 130人 |
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