クレーン12台が横に並び白く細長いものを吊り上げる、その理由は

クレーン12台が横に並び白く細長いものを吊り上げる、その理由は 宇宙、自然、歴史
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クレーン12台が横に並び白くて細長いものを吊り上げる理由は?

何でこんなことしているのか、理由はなんでしょう?

街中で多くのクレーンが並んだ状態で白くどこまでも続いていそうな長いものを吊り上げる様子。何かの催し物かイベントの一環として実施されている様な光景にも見えますが、施工上の理由からおこなっている作業。

12台の移動式クレーンによる吊り上げの様子
出典:YouTube | Liebherr

横に並んでいる移動式クレーンの台数は12台。正確には10台と2台に分かれており、90トン吊りから最大400トン吊りまでクレーン能力は様々ですが、全てLiebherr製の移動式クレーン。

【作業で使用している12台のクレーン】

  • LTM 1090-4.2×4台、90トン吊り
  • LTM 1100-5.2×2台、100トン吊り
  • LTM 1110-5.1×1台、110トン吊り
  • LTM 1130-5.1×1台、130トン吊り
  • LTM 1150-5.3×1台、150トン吊り
  • LTM 1230-5.1×1台、230トン吊り
  • LTM 1300-6.2×1台、300トン吊り
  • LTM 1400-7.1×1台、400トン吊り
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クレーンで吊り上げている白く細長いものはパイプライン

吊り上げているパイプラインの最後尾
出典:YouTube | Liebherr

12台のクレーンを使用して吊り上げている白く細長いものの正体は、直径700mm、全長1,000mのパイプライン。全体の重量は何トンなのか分かりませんが、完全に吊り上げている訳ではない。

1,000mのパイプライン先端側に10台のクレーンを25m間隔で配置、残りの2台はパイプラインの最後尾に配置。クレーンがいない中央部分にはローラー付きの架台が一定間隔で配置され、その上をパイプラインがスライドしていく仕組みになっている。

パイプラインの先端側を10台のクレーンで吊り上げる目的は、地中に引き込む時の緩やかな角度を持たせるため。急な角度では曲げられないので、地中に挿入していく部分がいい角度になるように10台のクレーンで吊り上げて調整しているようです。動画の概要欄に記載してある説明では、”パイプラインの先端側にドリルヘッドを設置”という記載があるので、地中を掘削しながらパイプラインを引き込んでいるのかもしれません。

では、なぜ街中にこのようなパイプラインを設置しているのでしょうか?

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WarmtelinQ(ヒートリンク)という地域暖房パイプライン

WarmtelinQで計画しているパイプラインのルート
出典:WarmtelinQ

パイプラインを設置する目的は、WarmtelinQ(ヒートリンク)という地域暖房に使用する暖められた水を輸送するため。設置の様子でパイプラインが2本あったのは供給ラインと回収ライン。

オランダの南ホラント州で建設されており、パイプラインはロッテルダム港からフラールディンゲンを経由してハーグまで伸びるという。2022年7月には、レイスウェイクからライデンまでのルートについても追加で建設許可がおりている。

WarmtelinQのウェブページによると、オランダで使用されるエネルギーの半分以上は暖房に使用されており、そのうちの 47% は家庭や企業の暖房に使用。現在、そのほとんどは化石燃料、主に天然ガスに依存しているため、状況を変える必要があるという。WarmtelinQでは、ロッテルダム港の産業活動による廃熱や焼却施設の余熱利用を南ホラント州の家庭や企業の暖房として活用することで天然ガス使用量を削減し、CO2排出量の削減につなげる。

全体のルートが設置完了するのは2027年半ばくらいになるようですが、1部のルートは2023年中に運用が開始される予定。そして、将来的にはパイプラインを分岐してエリアを拡張する計画も考えられているようです。

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