明陽智能「洋上風力+養殖漁業」ジャケット基礎完成
中国のタービンメーカー明陽智能(MingYang Smart Energy)は、2023年4月から製造していた洋上風力タービンのジャケットに養殖漁業用のネットゲージシステムを備えたジャケット基礎が7月10日に完成したと発表。
2023年7月11日に明陽智能は、LinkedInへの投稿で”明陽陽江青州4洋上風力発電プロジェクトのエキサイティングな更新”という書き出しから2つの出来事を発表。1つ目は「MyAC-JS05」と呼ばれる養殖漁業用のネットゲージを備えたジャケット基礎の完成。もう1つは、6月に「明陽陽江青州4洋上風力発電プロジェクト」で出力12MWの風力タービン「MySE12-242」の1基目が設置完了したということ。
ジャケット+ネットケージ「MyAC-JS05」
完成した「MyAC-JS05」は明陽智能による自社設計で建造され、風力階級17、最大風速61.2m/sの強風にも耐える台風に強い構造になっているという。今回投稿された情報によると、ジャケット内の養殖水域で15,000匹のハタ(groupers)を養殖することが可能で年間生産量は75トン、500万元(日本円に換算すると約1億円)の収益が見込まれている。
明陽智能のホームページで建造開始の時に掲載されていた情報だと、5,000m3の養殖水域で15万匹の養殖が可能というものでした。どちらが正確な情報なのかは不明。ですが、養殖水域の5,000m3が正しいと仮定して両者の養殖数量を1m3当たりに換算して比較すると
以前の情報では魚の種類が記載されていませんでしたが、1m3当たり30匹はさすがに多すぎるので今回の15,000匹という情報が正しいものと思われる。
「MyAC-JS05」は着床式ですが、浮体式でも開発が進められています
出力12MWの風力タービン「MySE12-242」設置
「MyAC-JS05」の完成情報とともに明らかにされた「明陽陽江青州4洋上風力発電プロジェクト」での出力12MW風力タービン「MySE12-242」設置完了。「明陽陽江青州4」では、2023年4月末から風力タービン設置を開始しており、着床式風力タービンは11MWと12MWの2種類を設置する予定。なので、11MWの「MySE11-230」から設置が進められ、6月に12MWの「MySE12-242」1基目が設置完了したということだと推測できる。
首吊成功!国内首个“海上风电+海洋牧场+海水制氢”融合项目进入风机安装阶段
(最初の吊り上げは成功しました! 国内初となる「洋上風力+海洋牧場+海水水素製造」の複合プロジェクトが風力タービン設置段階へ)
http://www.myse.com.cn/jtxw/info.aspx?itemid=991
風力タービン設置作業をおこなうSEP起重機船については、特に記載が無く不明。ですが、4月29日掲載の風力タービン設置開始の記事では、作業の様子を伝える画像が添付されている。
この画像をよく見るとクレーンポストに”MAIN HOOK SWL 1000T 23-30m”と書いてあることから1,000トン吊りのSEP船であることが分かり、レグの形状はトラス式。これらの情報から4月29日から11MWの風力タービン設置をおこなっていたのは「精铟03」(JING YIN 03)である可能性が高い。
しかし、今回1基目の12MW風力タービン設置をおこなったSEP船は1,000トン吊り「精铟03」ではないようです。中国のニュース記事では、レグが円柱形のSEP船が施工をおこなっていました。AIS情報を確認し、「明陽陽江青州4」の場所にいるSEP船を調べてみる。
するとエリア内には、先程の11MW風力タービンを設置していた「精铟03」もいましたが、他に「瓯洋006」を確認。なので1基目の12MW風力タービン設置をおこなったのは、SEP船「瓯洋006」の可能性が高い。SEP船「瓯洋006」は800トン吊りなのでクレーンの最大吊り上げ能力は大きくありませんが16MWの風力タービン設置を想定して建造されています。風力タービン設置に関しては吊り上げ能力よりも揚程がボトルネックになるという事が理解しやすい。
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