2021年8月に青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS。その後、船体が2つに折れて分断、船首部の撤去は1か月後の2021年9月に完了しましたが、船尾部は今なお座礁したままになっている。
座礁したCRIMSON POLARIS撤去作業
まず、事故の経緯から。
2021年8月11日午前7時35分頃、青森県八戸港の沖で錨泊中に強風で流され座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)。翌日の8月12日午前4時15分頃に船体が分断し、油が流出。事故当時に乗船していた乗組員21名(中国人、フィリピン人)は、全員船から退避して無事。
木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の概要
CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)は、2008年に建造された木材チップ専用船。全長199.9m、幅32.2m、総トン数39,910トン。
船名 | CRIMSON POLARIS (クリムゾン・ポラリス) |
船籍 | パナマ |
総トン数 | 39,910トン |
長さ | 199.9m |
幅 | 32.2m |
建造年 | 2008年 |
海面上及び船体の油回収
海上に流出した油は、大型浚渫兼油回収船「白山」やタグボートなどで行い、沿岸漂着油に関しては、自走式ビーチクリーナーを使用して回収作業を行った。
座礁事故で流出した油の量はプレスリリースによると388KL、座礁した時点でCRIMSON POLARISが保有していた油の量は、重油約1,550トンと軽油約130トン。
2021年8月27日、浮いている船首部をタグボートで八戸港内に引き込み岸壁に係留した状態で船内に残る油の抜き取りが行われた。
船首部の油抜き取り作業は9月11日に完了し、翌々日の13日に八戸港を出港。引き取り先の広島県江田島へ向け曳航された。
残る船尾部の油抜き取り作業は2021年9月14に開始。9月25日に完了。
船尾部の撤去作業を行うのは日本サルヴェージ
船尾部は完全に着底した状態なので船首部のように浮かべた状態で曳航する事が出来ない。
2021年10月8日のプレスリリースで事故発生後から現地で油抜き作業を行っていた日本サルヴェージが撤去作業も引き続き行う事が発表されている。
船尾部の重量は約3,300トン
残っている船尾部の重量は約3,300トン。それを3分割して引き揚げる予定らしい。
現況の船尾部が座礁している状態は事故直後の少し傾斜した状態ではなく、完全にさかさまになった状態。
撤去の順序は先に海面側にある機関室部分の撤去を行い、その後に居住区部分の撤去を行うという流れ。分割して撤去を行う予定ですが、機関室部分の重量は約1,700トンだそうです。
起重機船は10月4日にも八戸港に入港する予定
機関室部分の撤去を行う起重機船は10月4日にも八戸港に入港する予定で順調にいくと10月前半に機関室部分の撤去が完了する見込み。
撤去作業を行っているのは日本サルヴェージなので、深田サルベージの起重機船が手配されているのでしょう。重量1,700トンの機関室部分を吊り上げられる起重機船は国内に多くはいません。
- 4,100トン 海翔(寄神建設㈱)
- 3,700トン 武蔵(深田サルベージ建設㈱)
- 3,700トン 第50吉田号(㈱吉田組)
- 3,000トン 第28吉田号(㈱吉田組)
- 3,000トン 富士(深田サルベージ建設㈱)
- 2,200トン 駿河(深田サルベージ建設㈱)
- 2,050トン 金剛(深田サルベージ建設㈱)
- 1,800トン 第1豊号(㈱森長組)
機関室部分の撤去後は、居住室部分などの引き揚げを行い、最終確認も含めて完全に撤去作業が完了するのは2023年1月の予定。
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