HeeremaはHuismanに大型パイルグリッパーを発注。搭載する予定のクレーン船は14,200トン吊り「Thialf」。先日プロトタイプのナセルが完成したV236-15.0MW風車基礎のモノパイルを「Thialf」で設置する予定だそうです。
最先端の動作補償パイルグリッパー
最先端の動作補償パイルグリッパー(state-of-the-art Motion Compensated Pile Gripper)。
Heerema awards Huisman contract to deliver Motion Compensated Pile Gripper
(Heerema が Huismanの契約を授与し、モーション補償パイルグリッパーを納入)
Heerema awards Huisman contract to deliver Motion Compensated Pile Gripper
2022年9月29日、オランダのHeeremaは同じくオランダのHuismanに最先端の大型パイルグリッパーを発注。発注したパイルグリッパーは直径12.5m、長さ115m、重量3,200トンのモノパイルを設置可能で動作補償機能を搭載している。取り付けるのは14,200トン吊り「Thialf」の舷側部分。
パイルグリッパーのスペックが驚異的な数字で驚きますが、Heerema社も当てがない状態で発注している訳ではなく、受注した工事で使用する予定があるそうです。
He Dreiht offshore wind farmの洋上風車基礎設置を受注
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2022/10/heerema-orders-huisman-pile-grippers-for-thialf-01.jpg)
2022年4月25日、Heeremaはドイツの北海沖合に建設予定のHe Dreiht offshore wind farmにおいて洋上風車基礎設置を受注したことを発表。
Heerema Marine Contractors awarded He Dreiht offshore wind project
(Heerema Marine ContractorsがHe Dreiht洋上風力発電プロジェクトを受賞)
Heerema Marine Contractors awarded He Dreiht offshore wind project
受注内容は64基の洋上風車基礎モノパイルとトランジションピースの設置。
基礎から上の風車タービン設置はCADELERが受注。その風車はなんとVestasのV236-15.0MW。
He Dreiht offshore wind farmの概要
世界で初めて15MWの洋上風車が設置される洋上風力発電所。あと数年でヨーロッパでは15MWの洋上風車が設置されるようです。発展スピードが速すぎですね。
- 設置位置:ドイツ ボルクムから北西へ約90kmの北海、最大水深37.7m~40.6m
- 発電容量:Vestas V236-15.0MWタービン 15MW×64基=960MW(接続容量900MW)
- 風車基礎:着床式、モノパイル
- 風車形状:ローター直径 236m、ブレード長さ 115.5m
- 建設開始:2024年上半期、タービン設置2025年第2四半期
- 完成予定:2025年
Cadeler A/S signs contract with Vestas to support the transportation and installation of 15 MW offshore turbines
(Cadeler A/SがVestasと15MWオフショアタービンの輸送と設置を支援する契約を締結)
Cadeler A/S signs contract with Vestas to support the transportation and installation of 15 MW offshore turbines
掲載記事によると風車タービンの設置は2025年第2四半期に開始、年末には完了する予定。
作業を行う作業船は ”It will be executed by one of Cadeler’s two O-class vessels”(Cadelerの2つのOクラス船の1つによって実行)という記載があるので、保有するSEP起重機船「Wind Orca」、「Wind Osprey」のどちらかで設置予定。
「Wind Orca」「Wind Osprey」のクレーンアップグレードの予定
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2022/10/Wind_Orca.jpg)
![](https://crane1000.com/wp-content/uploads/2022/10/Wind_Osprey.jpg)
出典:CADELER
CADELERは保有するSEP起重機船「Wind Orca」、「Wind Osprey」のクレーンを2024年初頭までにアップグレードすることを発表している。現状では両船とも1,200トン吊りのクレーンを搭載していますが、それぞれ1,600トン吊りにアップグレードする予定。揚程(甲板上から)は、132mから160mになるそうです。
こういった既存船のアップグレードは今後も増えてきそうな感じ。
CADELERは現在SEP起重機船2隻しか保有していませんが、X-Classと呼ばれる2,600トン吊りクレーンを搭載したSEP起重機船を2隻中国で建造中。2024年後半から2025年上半期に完成予定。
さらに、2022年5月にはF-classと呼ばれる吊り上げ能力2,600トン以上のクレーンを搭載したSEP起重機船を同じく中国のCOSCO SHIPPINGに発注している。
基礎と風車タービン設置を別作業船で施工する方法
洋上風車の大型化が進んでくると今回のように風車基礎と風車タービンを別のクレーン船で施工するパターンが多くなりそうな気がします。吊り上げ能力と揚程を作業船1隻で両立させるよりも別船で考えた方がコスパがいいのかも。そうこうしてると浮体式が主流になっちゃうかもしれませんが。
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