発電容量500MW、フランスのフェカン洋上風力が正式稼働開始
2024年5月16日、フランス北西部の沖合に建設していた「Fécamp offshore wind farm」が完成し、正式稼働を開始しました。
「Fécamp offshore wind farm」はフランス北西部にあるFécampの海岸から13〜24kmに位置し、Siemens Gamesaの7MW風力タービン「SWT-7.0-154」71基と洋上変電所1基で構成され、総発電容量は約500MW。洋上変電所の基礎は先行杭にジャケットという組み合わせですが、風力タービン基礎には珍しい重力式を採用しています。
EDF Renouvelables、Enbridge Inc.およびCPP Investmentsで構成されたコンソーシアムのEIH S.à r.l.とSkyborn Renewablesにより開発がおこなわれており、プロジェクトによって約3,000人の雇用が創出され、総投資額は約20億ユーロ、日本円に換算すると3,380億円に相当するという。
1基あたり5,000トンの重力式基礎
コンクリート製の重力式基礎は、フランスのル・アーブル(Le Havre)で71基を製造。大きさは土台の直径が31m、高さは48~54m、1基あたりの重量は5,000トン。
完成した重力式基礎は特殊な2基の門型クレーンを使用して吊り上げてSPMT(自走式多軸台車)に搭載し、輸送台船に積み込んで設置場所へ運搬。ヤード内で吊り上げをおこなった2基の門型クレーン上部には、それぞれ850トンのストランドジャッキ4台が設置されており、合計8台のストランドジャッキを操作して重力式基礎を吊り上げました。
重力式基礎の設置は、Heerema Marine Contractorsが所有する世界最大の20,000トン吊りクレーン船「Sleipnir」で施工。2022年8月1日に設置を開始し、9月17日には71基の設置を完了。クレーンの吊り上げ能力だけではなく、施工速度も世界最高レベル。
「Orion」による洋上変電所設置
出典:Parc éolien en mer de Fécamp
2022年4月にSEP起重機船「Sea Installer」で洋上変電所ジャケットの先行杭打設がおこなわれた後、2022年8月にジャケットおよびトップサイド設置はDEMEの5,000トン吊りクレーン船「Orion」で実施。
ジャケットは高さ約60m、重量1,500トン。トップサイドは41m×29m、高さ17m、重量2,100トン。
SEP起重機船「Innovation」による7MW風力タービン設置
出典:EDF Renouvelables
1,500トン吊りSEP起重機船「Innovation」によるSiemens Gamesaの7MW風力タービン「SWT-7.0-154」設置が始まったのは2023年7月。71基の設置が完了したのは2024年3月。
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