浮体式洋上風力プロトタイプ「T-Omega Wind」実証試験開始
Floating Offshore Wind Turbines Keep Getting Weirder (And That’s A Good Thing)
浮体式洋上風力タービンはどんどん奇妙になっていきます (それは良いことです)
https://t-omegawind.com/news/floating-offshore-wind-turbines-keep-getting-weirder-and-thats-a-good-thing
2023年12月9日、アメリカの新興企業 T-Omega Wind は開発を進めている浮体式洋上風力プラットフォーム「T-Omega Wind」プロトタイプの実証試験開始を発表。高さ39フィート(約11.9m)で1/16スケールのプロトタイプは、12月4日にマサチューセッツ州ニューベッドフォードのクラークス湾へ設置され、およそ60日間の試験運用がおこなわれるという。
掲載記事の文面では、いかにもな感じでアメリカ的に特徴を表現していますが、ブレードを回転させるハブを両側から保持するという形状は斬新。軽量化というコンセプトで設計された浮体式プラットフォーム「T-Omega Wind」はまだプロトタイプ段階なので規模が小さいですが、将来的にフルスケールで10MWの風力タービン搭載を目指しているという。
「T-Omega Wind」について
T-Omega Windのウェブサイトに掲載されている情報によると、浮体式洋上風力プラットフォーム「T-Omega Wind」のコンセプトは軽量化。洋上風力タービンを根本的に再設計することを前提に、重量がコストと製造性を左右することを認識し、標準設計よりも大幅に軽量なフローティングプラットフォームを設計。そして、4つの点で浮体式洋上風力タービンを最適化。
T-Omega Windは、風力タービンを海洋用途に特化して再設計することにより、既存技術の問題である高コスト、世界中で一般的な深海での展開が不可能、導入を妨げるサプライチェーンの問題である製造のボトルネックという3つの問題を克服できると述べている。
ダウンウィンド方式を採用
T-Omega Windは、水深の浅い海域と深い海域の両方に対応。波に抵抗するのではなく波の上に乗り、両側にしっかりと保持されたローターで波による動揺に抵抗。さらに、ダウンウィンド方式の採用により、 標準の水平軸ローターを使用しながら、支持構造とプラットフォームの材料コストの大部分を削減。 このプラットフォームは、世界中の小規模な造船所で製造可能というメリットに加えて、迅速に曳航可能(海上ではなく港でのメンテナンスが可能)、広範囲の水深で機能するという利点があり、米国の洋上風力発電資源を2倍に増加させるという。
10MWという壮大な目標に向かって動き出した「T-Omega Wind」。1/16スケールのプロトタイプを見る限りまだまだ ”実験” という段階ですが、今後の開発進展がどうなるのか気になるところです。軽量化に着目したプラットフォームにより湾内などの浅い海域で設置が出来るというのは面白いと思いました。係留方法や強風対策など、今後の課題はいろいろあいそうですけど問題を克服して順調に開発が進むことを期待。
【動画】浮体式洋上風力プロトタイプ「T-Omega Wind」
マサチューセッツ州ニューベッドフォードのクラークス湾へ設置された浮体式洋上風力プロトタイプ「T-Omega Wind」。
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