ジョーンズ法のもと「Vineyard Wind 1」で風力タービン設置開始
Vineyard Wind’s First Turbine Departs New Bedford Marine Commerce Terminal
(Vineyard Wind の最初のタービンが新しいベッドフォード海洋商業ターミナルを出発)
https://www.vineyardwind.com/press-releases/2023/9/6/vineyard-winds-first-turbine-departs-new-bedford-marine-commerce-terminal
いよいよアメリカの洋上風力発電所で注目の風力タービン設置が始まるようです。基礎部分のモノパイル設置とは異なり、ジョーンズ法で規制される風力タービン設置作業ではアメリカ国内の港において国外建造のSEP起重機船による部材の積み込みが出来ないという制限がある。なので、今回「Vineyard Wind 1」で採用されている手順ように、港から設置場所まで風力タービン部材を運搬するためジョーンズ法に準拠した船舶を使用しなければならない。
現在、アメリカ国内では初めて洋上風力向けとなるジョーンズ法に準拠した2,200トン吊りSEP起重機船「Charybdis」を建造しています。ですが、2023年第4四半期に完成予定となっており、まだ完成していない。
GEの「Haliade-X」を台船に積んで運搬
GEの「Haliade-X」を積んだ運搬台船がマサチューセッツ州のニューベッドフォードを出港。「Vineyard Wind 1」の風力タービン設置エリアで待つSEP起重機船「SEA INSTALLER」までの曳航距離はおよそ90km(約50海里)。
「Vineyard Wind 1」の掲載記事によると、風力タービン部材運搬のために2隻の台船「MARMAC 400」と「Foss Prevailing Wind」を段取りしているという。運搬台船の全長は2隻とも400フィート(約122m)。長さ321フィート(約98m)のブレードを搭載できる台船は、この2隻だけしかいないという説明がされており、ジョーンズ法に準拠した台船で近隣から調達可能な台船に限定した上でという意味かもしれない。
台船に積まれている「Haliade-X」は1基分。タワーは中段と下段を連結し、上段は別になっており2分割された状態。さすがに1本にするのは無理だったようです。それにしても、台船上がタービン部材でパンパンのように見えるので、SEP船で吊り取る作業がかなり心配。
1隻目の運搬台船は「MARMAC 400」
GE Renewable Energy がLinkedInに投稿した運搬台船がニューベッドフォードを出港する動画で船名を確認すると、1隻目の運搬台船は「MARMAC 400」。船首側で主曳船として台船を曳航するボートは全長約40mの「NICOLE FOSS」。
船名 | MARMAC 400 |
総トン数 | 5,781トン |
長さ | 121.92m |
幅 | 30.40m |
深さ | 6.10m |
喫水 | 4.34m(満船時) 0.99m(空船時) |
甲板強度 | 22トン/m2 |
積載重量 | 11,453トン(最大) |
出典:LinkedIn | GE Renewable Energy
運搬台船は「Vineyard Wind 1」まで約50海里を曳航
主曳船「NICOLE FOSS」のAIS情報を確認すると、2023年9月6日12時頃(現地時間)ニューベッドフォードを出港し、5~6ノットという速力で50海里の距離を曳航。9月6日から7日にかけての深夜には、SEP起重機船「SEA INSTALLER」付近へ到着しているとみられる。
台船には Barge Master の動作補償プラットフォームを搭載
名称 | BM-T700 |
ペイロード容量 | 700トン |
作業条件 | 波高 0~2.5m 周期 4~18秒 |
基礎部分の形状 | 18.3×15.1m |
プラットフォーム 作業エリア | 12×12m |
重量 | 270トン |
運搬台船には Barge Master の動作補償プラットフォームが搭載されている。波高2.5m以下、周期18秒以下という作業条件下でプラットフォーム上に置かれた部材の揺れを低減するというもの。どのような状態で搭載されているのか気になりますが、今回の画像だけではよく分かりません。
運搬された部材を吊り取るSEP起重機船「SEA INSTALLER」側にも対策が取られている。クレーンのフックに吊り下げて吊荷の揺れを低減する洋上リフティングデバイス「Heave Chief 1100」を使用する予定。「Heave Chief 1100」は、Seaqualize が開発したもので DEME Offshore US が使用契約をおこなっている。最大吊り上げ重量は1,100トン。
出典:SEAQUALIZE
どちらも波による揺れを低減するための対策。実際に効果があるのか微妙な気もするので、動作状況を動画で見てみたい。どれだけ波の揺れ対策しても、DPS非搭載の全長120m以上ある巨大な台船を定点保持する方が重要な気がするけどね。
台船上は風力タービンの部材でパンパン、1台船に1基分。数回は無事でしょうけど、62基分あるので62回も台船からSEP船への部材吊り取りをやると考えると無事では済まない気がしてしまう。
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