相次ぐ商船への攻撃、Maerskが紅海航行を当面見合わせ
2023年12月15日、デンマークの海運大手Maerskは紅海で相次ぐイスラエル関連の商船を標的とした攻撃に対する措置として、当面の間は全てのコンテナ船の紅海航行を見合わせる方針であることを明らかにしたと、REUTERSなど複数のメディアが報じました。
12月14日に起きたコンテナ船「MAERSK GIBRALTAR」を標的とした事件
これまでに紅海を航行する多くの商船が攻撃の標的にされてきましたが、今回の紅海航行見合わせという方針決断に至ったとみられる事件が12月14日に起きています。オマーンのサラーラからサウジアラビアのジェッダへ向かっていたコンテナ船「MAERSK GIBRALTAR」がバブ・エル・マンデブ海峡を航行中にミサイル攻撃の標的となる事件が発生。
Maerskは、乗組員と船舶の無事が報告されていることを明らかにしましたが、一方でイエメンの反政府武装組織フーシ派はMaerskのコンテナ船が警告に応じなかったため武力作戦を実施し無人ドローンで直接攻撃したと主張。しかし、Maerskは命中していないと否定している。
コンテナ船「MAERSK GIBRALTAR」
船名 | MAERSK GIBRALTAR |
総トン数 | 113,042トン |
コンテナ容量 | 10,100TEU |
長さ | 337m |
幅 | 48m |
船籍 | 香港 |
建造年 | 2016年 |
Maerskのコンテナ船火災に関するデマ投稿
12月14日に起きたコンテナ船「MAERSK GIBRALTAR」を標的にしたミサイル攻撃により、船上で火災が発生したという事実は確認されておらず、Maerskも乗組員と船舶が無事であることを明らかにしている。
しかし、SNS上にはMaerskのコンテナ船で火災が発生している画像や映像が投稿されています。Maerskは、Xへの投稿で出回っている投稿が2018年に起きたコンテナ船「Maersk Honam」の火災事故によるものであると言及した上で、12月14日に起きた「MAERSK GIBRALTAR」の事件とは無関係であると述べている。
【MaerskのX投稿 翻訳】
Maerskは、MAERSK GIBRALTARがオマーンのサラーラからサウジアラビアのジェッダへ航行中に発生した事故を深く懸念しています。 乗組員と船舶は無事であると報告されている。 現在、事件の全容解明に努めております。 船舶は衝撃を受けなかった。
2018 年の悲劇的なMaersk Honam火災事件を描いた投稿が多数出回っています。機密性と正確性を考慮して、問題の画像とビデオは無関係であり、昨日起こった出来事を表すものではないことを明確にしたいと考えています。 MAERSK GIBRALTARは攻撃を受けなかった。
X | Maersk(@Maersk)
紅海付近で起きた商船を標的にした事件
- 2023年
11月19日イエメン沖で自動車運搬「GALAXY LEADER」拿捕 - 11月25日インド洋でコンテナ船「CMA CGM SYMI」に対して無人ドローンによる攻撃
- 11月26日エデン湾でケミカルタンカー「CENTRAL PARK」一時拿捕
- 12月3日バブ・エル・マンデブ海峡付近で貨物船3隻への攻撃
ばら積み貨物船「UNITY EXPLORER」、「AOM SOPHIE II」、コンテナ船「NUMBER 9」の3隻がフーシ派による攻撃を受けるも損傷は軽微
- 12月11日イエメン沖の紅海でケミカルタンカー「STRINDA」へのミサイル攻撃
- 12月14日ソコトラ島の東約400海里でばら積み貨物船「RUEN」乗っ取り
ばら積み貨物船「RUEN」がソコトラ島東 約400海里のアラビア海を航行中、英国海運貿易業務(UKMTO)にメーデーを送信。複数の不審者が乗船し、乗っ取られたとみられている。
- 12月14日バブ・エル・マンデブ海峡付近で「MAERSK GIBRALTAR」へのミサイル攻撃
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