世界最大の作業船によるジャケット撤去システム

世界最大の作業船によるジャケット撤去システム 起重機船、クレーン船
スポンサーリンク

Pioneering Spirit jacket lift system

世界最大の作業船「Pioneering Spirit」に新たなジャケットリフトシステムが設置されるようです。
動作イメージの動画を見ると一目瞭然ですが、発想がユニーク。

こんな作業船、需要あるの?

日本では見かけることが無いですが、世界的に油田やガス田のプラットフォーム撤去需要は非常に高いです。
世界には約7000カ所の海洋石油ガス生産施設があり、建設から40年以上経過しているものが多くあります。海洋石油ガス生産施設廃棄の関連市場は拡大を続けており、2027年には1兆円規模になるという試算もでているようです。

安全かつ迅速に撤去可能な方法があれば、市場規模を勘案すると企業にとってメリットは大きいはずです。

動作イメージの動画

ジャケットリフトシステムの概要

※JLSビーム:Jacket Lift System beamsの頭文字を取っているようです

ジャケットリフトシステムの設置 進捗状況

AllseasのHPを確認すると2019年9月に計画が発表されています

レプソルノルゲASは、ノルウェー北海のGydaプラットフォームの撤去、移転、海岸へのロードイン、処分に関するEPRD契約をAllseasに授与しました。契約は、18,000 tトップサイドと11,200 tジャケットの両方をカバーし、ノルウェー沖の固定インストールのための前例のないステップとなる別のフィールドに再インストールするためのオプションが含まれています。また、ジャケットの32本の導体の取り外し、移動、ロードイン、廃棄のためのオプションも含まれており、合計3,100 tの重量を量ります。

ジャケットは垂直に製造され、90年代に取り付けられていたので、構造は輸送中に水平位置に積み込みを維持することはできません。AllseasとRepsolは、プラットフォームを現在の場所から移動し、処分のために海岸に持ち込む方法を研究するのに1年以上を費やしました。パイオニアスピリットのユニークなジャケットリフトシステムでジャケットをほぼ垂直のポジトン(60度)で輸送するというソリューションは、レプソルがトップサイドとジャケットの両方のフルスコープをオールシーズに授与する可能性を解き放った。

https://allseas.com/news/allseas-selected-to-remove-the-repsol-gyda-platform/

記載されている情報によるとジャケットをそのまま吊上げる事が出来ないので別の方法を1年以上模索した結果、今回のジャケットリフトシステムが生み出されたようです。
確かに構造的に耐えうる重量に小分割して撤去するより効率的な気がします。

当社の記録的な建設船パイオニアスピリットは、ジャケットを取り外して設置することができます – オフショアプラットフォームのデッキを支える鉄骨 – 重量は20,000 t – 200スペースシャトルに等しい – 1回のリフトで。新しいジャケットリフトシステム(JLS)のシステムと部品は、世界中の製造現場で形成されています。イタリアでは、2つの170mリフトビームの建設が中間点に達し、中国ではアップエンドシステムが完成に近づいています。

https://allseas.com/news/unique-jacket-lift-system-takes-form/

2020年2月時点でJLSビームの建造が中間地点、アップエンドシステムが完成に近づいている状態。
アップエンドシステムは甲板上に取り付けるJLSビーム起伏用のジャッキ関係のことでしょう。

下の画像は2021年1月に紹介されているアップエンドシステムの設置状況
部材の吊上げに使用されているクレーンは2020年3月に搭載された5,000t吊のクレーン。

下の画像は2021年3月に紹介されているアップエンドシステム設置完了写真

2021年8月にJLSビームが完成。
部材はビームとテールエクステンション。
トータル重量は6,000t。
ビームの長さは170m。
下の画像は完成後に積込する様子。

デカ過ぎじゃね!?
人の大きさがひまわりの種みたいに小さくなってる。

完成まではもう少し時間がかかるでしょうが楽しみですね。
JLSビームを使用しての撤去作業が始まれば紹介しようと思います。

スポンサーリンク

Pioneering Spiritについて

「Pioneering Spirit」の概要と過去の施工実績について紹介します。

「Pioneering Spirit」の概要

船名Pioneering Spirit
長さ
(スティンガー含む)
382m
(477m)
124m
深さ30m
喫水10m~27m
スロット長さ122m
スロット幅59m
トップサイド揚重能力48,000t
ジャケット揚重能力20,000t
速力14ノット
機関総出力95,000kW
スラスター6,050kW×12基
宿泊施設571人
クレーン5,000t吊×1基
600t吊×1基
50t吊×3基

「Pioneering Spirit’s」の施工実績

「Pioneering Spirit」は油田やガス田のプラットフォーム設置及び撤去作業を行う作業船です。
5,000t吊クレーンが搭載されているのでクレーン船とも言えるかもしれませんが。
2013年に韓国で建造され、2016年にノルウェー沖で13,500tのトップサイド撤去を行ったのが初仕事。2021年夏で設置・撤去で取り扱った揚重重量が20万トンを超えたそうです。

施工実績での記録は
・撤去:24,000t、Brent Delta topsides removal
・設置:22,000t、installing the Johan Sverdrup DP topsides

Brent Delta topsides removal:24,000t

installing the Johan Sverdrup DP topsides:22,000t

スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

Crane1000をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました