ULSTEIN設計による中国の洋上風力向けSOV船2隻が進水

ULSTEIN設計による中国の洋上風力向けSOV船2隻が進水 洋上風力発電
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ULSTEIN設計による中国の洋上風力向けSOV船2隻が進水

SOV船2隻の進水式
出典:Ulstein
Ulsteinの掲載記事【2023年9月18日掲載】

Twin launch for Shanghai Electric SOVs

(上海電気向けのSOV 2隻進水)

https://ulstein.com/news/twin-launch-for-shanghai-electric-sovs

2023年9月16日、ZPMCで建造中のUlstein設計による上海電気向けSOV船2隻の進水式がおこなわれました。

洋上風力向けSOV船の特徴として、DPS(自動船位保持装置)や船から洋上風車へ渡るための動作補償機能をもつギャングウェイの搭載に加えて、メンテナンス技術者を作業場所となる複数の洋上風車に派遣する為、大容量の宿泊設備を備えています。Ulsteinの掲載記事によると、進水した2隻のSOV船はそれぞれ100室と60室の宿泊設備を搭載。

2022年11月30日に起工式がおこなわれており、運用開始は2024年の予定。

SOV船とは?

 SOV船とは、Service Operation Vesselの略で、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣する為に多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船。

全長93.4m、120人の宿泊設備を持つSOV船「Windea Jules Verne」
出典:General Electric

 本船と洋上風車の距離を常時安全に保つため、自動船位保持装置(DPS)を搭載し、また本船から洋上風車プラットフォーム上に技術者を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収する動作補償(Motion Compensation)機能をもつ特殊なギャングウェイを搭載している。

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進水した2隻は船型の異なるSOV船

(左)SX197「至誠」 と (右)SX195「至臻」
出典:Ulstein
型式SX195SX197
長さ93m72.8m
18m17.5m
喫水(最大)6.0m5.5m
載貨重量トン数3,200トン1,700トン
速力13ノット12.7ノット
宿泊設備80~120人50~60人
「SX195」と「SX197」の概要

建造している2隻のSOV船は同型船ではなく異なる船型となっており、Ulsteinの「SX195」と「SX197」と呼ばれる型式。船首側からの撮影画像しかないので船体の大きさや形状が分かりにくいですが、船首にヘリパッドを搭載しているSOV船「至臻」(Zhi Zhen)が全長93mのSX195、もう一方のSOV船「至誠」(Zhi Cheng)が全長72.8mのSX197。

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ULSTEIN X-BOW および X-STERNを搭載

「National Geographic Resolution」
出典:ULSTEIN
「Ocean Explorer」
出典:ULSTEIN

2隻には共通してULSTEINのX-BOWとX-STERNと呼ばれる船首および船尾形状を採用している。

先日、神戸港に入港した「NATIONAL GEOGRAPHIC RESOLUTION」やグリーンランド東部で座礁した「Ocean Explorer」など、SOV船以外のクルーズ船にも数多くの船舶でULSTEINのX-BOWが採用されている。

X-BOWとは?

X-BOWはinverted bow(逆船首)と呼ばれる船首の形をコンセプトとして設計され、水切角はあるもののほぼ垂直に切り立ち、斧のような外観が特徴的な船首。荒天航行時に船首が水面上に出てしまう事が少ないのでスラミングと呼ばれる船体が水面に叩きつけられる現象が起こりにくい。さらに、波による速度損失が低減され、速力の向上や燃料消費の削減につながるという効果がある。

X-BOWを最初に導入した「Bourbon Orca」
出典:ULSTEIN
X-STERNを最初に導入した「WINDEA LA COUR」
出典:ULSTEIN

X-STERNとは?

X-STERNは、X-BOWの効果を船尾側に導入したもの。従来の船型に比べ後進時のスラミングを大幅に低減させる効果があるそうです。乾舷が高く水面との距離が大きいので安全である反面、その形状からアンカーを取り扱う作業をおこなう船種などには採用できない。

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