八戸沖座礁船「クリムゾンポラリス」撤去完了が2024年3月末に延期
2021年8月に青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の撤去完了時期が、2024年1月下旬からさらに2カ月延期され2024年3月末になることが明らかにされました。
2023年12月14日に非公開でおこなわれた説明会では、関係自治体や漁業関係者などに対して完了予定時期の延期について説明があり、その説明会終了後に船主側代理人の弁護士が報道各社の取材に応じ、撤去完了時期の延期が明らかになったという。
報道されている情報によると延期の理由としては、機関室に穴を開けて吊り上げ用のチェーンを通し、台船2隻で吊上げた際、想定外の切れ込みが発生したため、別の位置にチェーンを設置し直す必要があるとのこと。作業は、天候次第で12月下旬にも再開する予定。
ということは、2023年10月の船尾機関室部分を吊り上げた際に油が流出した時点で、撤去する船体に想定外の切れ込みが発生していたと思われる。
残っている船尾部分の撤去方法
2021年8月に座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)は、座礁後に船体が2つに折れて分断し、船首部分の撤去は1か月後の2021年9月に完了しましたが、船尾部分は今なお座礁したまま。撤去を行う予定の船尾部重量は全体で約3,300トン。それを「機関室」「居住区」「船倉部分」に3分割して引き揚げる予定。「機関室」部分の重量は1,700トン。
その後、波浪による影響で船尾部分は反転してしまったものの撤去準備が進められ、予定では2022年10月初旬に起重機船「海翔」が八戸港に入港し、10月前半には3分割された船尾部の機関室部分が撤去される見込みでしたが、直前にさらなる波浪により海面から見えていた船尾部分が移動し、海面上から消えて見えなくなってしまう。
今思うと、これが無ければ起重機船「海翔」で機関室部分の吊り上げは出来ていたかもしれません。
今回で3回目の工程変更
撤去項目 | 以前の工程 | 施工方法変更 | 使用台船の前工程遅延 (2023年8月末時点) | 想定外の切れ込み (2023年12月時点) |
機関室 | 2023年10月まで | 2023年10月下旬から11月上旬 | ? | ? |
居住区と船倉部分 | 2023年11月 | ? | ? | ? |
撤去完了 | 2023年12月末 | 2023年12月末 | 2024年1月下旬 | 2024年3月末 |
これまでに船尾部分の撤去に関して、引き揚げ方法を起重機船からチェーンプラーに変更、使用する台船(おそらく白虎引き揚げに使用していたチェーンプラーを艤装した台船)の前工程遅延という理由から2回の工程変更をおこなっており、今回で3回目となる。
世間一般には何やってんだと思う方が多いかもしれませんが、それだけ天候に左右されやすく、危険を伴う撤去作業をおこなっているということを想像して欲しい。早くしろと言われて無理な作業をおこない事故が起きても、周りの人が責任を取ってくれる訳ではない。自分の信念を貫き、無事に作業が完遂することを期待しています。
木材チップ専用船「CRIMSON POLARIS」の概要
船名 | CRIMSON POLARIS (クリムゾン・ポラリス) |
船籍 | パナマ |
総トン数 | 39,910トン |
長さ | 199.9m |
幅 | 32.2m |
建造年 | 2008年 |
出典:FleetMon | maddave
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