ウォータージェットでモノパイルを設置、99%の騒音低減

ウォータージェットでモノパイルを設置、99%の騒音低減 洋上風力発電
スポンサーリンク

ウォータージェットでモノパイルを設置、99%の騒音低減

ウォータージェットでモノパイルを設置、99%の騒音低減
出典:Ørsted
Ørsted のプレスリリース【2024年7月12日掲載】

Ørsted successfully pilots new technology that further optimises offshore wind monopile installation

(Ørsted、洋上風力発電用モノパイルの設置をさらに最適化する新技術の試験に成功)

https://orsted.com/en/media/news/2024/07/orsted-successfully-pilots-new-technology-that-fur-13959650

2024年7月12日、Ørstedはドイツ沖で建設を進めている「Gode Wind 3」で洋上風力タービン基礎の設置方法に革命を起こす可能性のある、新しい低騒音の設置方法のテストに成功したと発表。「Gode Wind 3」で設置する風力タービン23基のうち3基のモノパイルでウォータージェット(jetting technology)を使用したという。

モノパイルに取り付けられた特許取得済みのウォータージェット技術により、周囲の砂質土壌抵抗を下げてモノパイル基礎を効果的に海底に沈めることができるため、設置時の騒音レベルが大幅に低下。一般的な設置方法と比較して34デシベルの低減が実現し、追加の緩和策を講じなくても騒音レベルは99%以上低減されたそうです。

ウォータージェットをバイブロハンマーと併用して鋼管杭を打設する事例は日本でも一般的ですが、巨大なモノパイルをウォータージェットのみで設置するというのは、聞いたことがない。打設時にバイブロハンマーや油圧ハンマーといった施工設備を使用しないので騒音レベルは劇的に低減されますが、ウォータージェットによる濁度の問題が気になります。

クレーン船「Les Alizés」による施工

ウォータージェットを装備したモノパイルの運搬・建て込みをおこなったのは、Jan De Nulの5,000トン吊りクレーン船「Les Alizés」。そして、モノパイル設置場所で搭載したパイルグリッパーにより相番をおこなっているのは、1,000トン吊りSEP起重機船「JB 117」。

船名Les Alizés
クレーン能力(主)5,000トン
(補)1,500トン
揚程(主)125m
(補)167m
長さ236.8m
52m
深さ16m
喫水10.5m(最大)
DPSDYNAPOS-AM/AT-R
(Class 2 相当)
載貨重量トン数61,000トン
貨物甲板面積9,300m2
甲板強度30トン/m2
アジマススラスター3,000kW×4
格納式スラスター3,250kW×2
バウスラスター2,600kW×2
最大速力13ノット
宿泊設備150人
(1×120室、2×15室)
船名JB 117
クレーン能力1,000トン
長さ75.9m
40.0m
深さ6.0m
レグ長さ80.0m
DPSDP2
建造年2011年
1,000トン吊りSEP起重機船「JB 117」
出典:Jack-Up Barge BV

【動画】施工の様子

スポンサーリンク

「Gode Wind 3」と「Borkum Riffgrund 3」の概要

「Gode Wind 3」の概要
  • 設置位置:ドイツ ノルダーナイ島から約32kmの北海
  • 発電容量:242MW
  • 風力タービン:Siemens Gamesa SG 11.0-200 DD、23基
  • 風車基礎:着床式、モノパイル
  • 完成予定:2024年
「Borkum Riffgrund 3」の概要
  • 設置位置:ドイツ ボルクム島から約53kmの北海
  • 発電容量:900MW
  • 風力タービン:Siemens Gamesa SG 11.0-200 DD、83基
  • 風車基礎:着床式、モノパイル
  • 完成予定:2025年
Jan De Nulがドイツの洋上風力プロジェクト2つを始動
Jan De NulがØrstedと契約しているドイツの洋上風力プロジェクト「Gode Wind 3」及び「Borkum Riffgrund 3」の建設に関して、モノパイルを製造場所から最寄りの港へ運搬し、プロジェクトを開始したことを発表。
次世代洋上風車設置船「Les Alizés」初作業へ向け準備
ベルギーの Jan De Nul が所有する次世代浮体式洋上設置船「Les Alizés」は、建造されてから最初の施工となるドイツの洋上風力発電所「Gode Wind 3」と「Borkum Riffgrund 3」でモノパイル及び洋上変電所の設置に向けて準備を開始。
大型クレーン船による「Gode Wind 3」洋上変電所設置
デンマークのØrstedによって開発が進められているドイツの着床式洋上風力発電所「Gode Wind 3」で洋上変電所の設置が完了。設置をおこなったのは、5,000トン吊りクレーンを搭載した次世代浮体式洋上設置船「Les Alizés」。
「BLUE WIND」と同型船「SEAWAY VENTUS」完成
2023年11月末、中国の招商局重工(CMHI)で建造していたSeaway7の2,500トン吊りSEP起重機船「Seaway Ventus」が完成し、引き渡しがおこなわれました。
「Borkum Riffgrund 3」でモノパイル設置開始
2023年12月13日、ドイツのボルクム島から約53km沖合の北海で建設されている「Borkum Riffgrund 3」でモノパイル設置作業が始まり、最初の1基目が設置されたことをJan De Nulが明らかにしました。
高さ84m、重量23,550トンのプラットフォームがノルウェーへ
2023年10月にシンガポールを出港した巨大な変換プラットフォーム「DolWin epsilon」がノルウェーのハウゲスンにあるAibelのヤードに到着。今後、日立エナジーのHDVC技術を搭載したコンバーターや変圧器などが設置される予定。
SEP船「Wind Osprey」アップグレード完了
およそ5ヶ月間に渡りオランダのスヒーダムで実施されていたSEP起重機船「Wind Osprey」のアップグレードが完了。
ドイツの「Gode Wind 3」最初の11MW風力タービン設置
2024年5月8日、Ørstedはドイツ沖合の北海で建設を進める洋上風力発電所「Gode Wind 3」において1基目の11MW風力タービン設置が完了し、送電網への電力供給を開始したと発表。
ドイツ「Borkum Riffgrund 3」で風力タービン設置
2024年6月20日、Ørstedはドイツ沖合の北海で建設を進める洋上風力発電所「Borkum Riffgrund 3」において1基目の11MW風力タービン設置が完了したと発表。
ウォータージェットでモノパイルを設置、99%の騒音低減
2024年7月12日、Ørstedはドイツ沖で建設を進めている「Gode Wind 3」で洋上風力タービン基礎の設置方法に革命を起こす可能性のある、新しい低騒音の設置方法のテストに成功したと発表。
CS WINDがBorkum Riffgrund 3向けモノパイル製造完了
CS WIND Offshoreは、ドイツ沖で建設が進められている洋上風力発電所「Borkum Riffgrund 3」向けとなるモノパイル40基の製造を完了したことを発表。
スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

Crane1000をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました