アメリカ船級協会のABSは、Bassoe TechnologyのD-Floaterと呼ばれる大型浮体式基礎が基本設計承認(AIP)を取得したことを発表した。浮体基礎は15MW風車の設置が可能で運搬時やヤードでのストック時に積み重ねることが出来るという特徴がある。
積み重ねて運搬出来る大型浮体式基礎がABSの基本設計承認を取得
一風変わった特徴を持つ浮体式基礎。
2023年1月30日、アメリカ船級協会のABSは、Bassoe TechnologyのD-Floaterと呼ばれる大型浮体式基礎が基本設計承認(AIP)を取得したことを発表した。ABSによると、その浮体基礎は15MW風車の設置が可能で、風車を搭載した状態でも喫水が10m未満の状態で曳航出来るという。
そして最大の特徴は、浮体基礎を積み重ねた状態で置くことが出来るという点。
浮体基礎の構成は、円筒形の浮体を三角形の頂点に配置したデルタ型で、セミサブ (Semi-Submersible)と呼ばれる半潜水式の浮体構造。D-Floaterの”D”はDelta(デルタ)に由来していると思われる。
添付画像のように互いの浮体基礎内部に積み重ねることが可能で、1隻の重量物運搬船に5基の浮体基礎を搭載して運搬することが出来る。
この浮体基礎の積み重ね効果は、運搬時だけではなくヤードでの仮置き時にも行うことで効率的に省スペースで保管することが出来る。
ヤードスペースの問題は頭を悩ませる問題のひとつなので、重ねて省スペースというのは効果に期待が持てるのかも。洋上風車の建設工事で取り扱う部材はどれもサイズが大きく平面スペース的にかさばるものが多い。部材は浮体基礎だけではないので施工の工程を考えた時に輸送がクリティカルになるというリスクを緩和できるかもしれない。ただ、画像を見る限り重ねるためには揚重する必要がありそうなのが難点になるかも。
年間50基以上の製作が可能
The D-Floater is a floating foundation designed for cost efficient fabrication and logistical solutions to meet the growing demand for renewable energy. Together with our parent company, CIMC Raffles, we will have the ability to deliver more than 50 D-Floaters per year.
(D-Floater は、再生可能エネルギーに対する需要の高まりに対応するために、費用対効果の高い製造とロジスティクス ソリューションのために設計されたフローティング ファウンデーションです。 親会社である CIMC Raffles と協力して、年間 50 台以上の D-Floater を提供できるようになります。)
ABS Approves Bassoe Technology’s D-Floater Floating Wind Foundation Design for World’s Largest Turbines – American Bureau of Shipping (cision.com)
ABSの掲載記事によると、中国のCIMC Rafflesと協力して年間50基以上の D-Floater を製造可能。量産が可能というのはメリットが大きい。
スウェーデンを拠点とするBassoe Technologyは、2013年以降CIMC(China International Marine Containers)が所有しているそうです。
Bassoe Technologyは、T-Floaterと呼ばれる浮体基礎を組立前のモジュールで運搬する技術についてもABSの基本設計承認(AIP)を取得している。モジュールで運搬後、現地での製造が可能になることでグローバルな供給能力が期待されている。
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