富山市岩瀬浜沖の座礁船「DONG YU」海開き前に撤去完了
2024年6月25日、富山市の岩瀬浜沖で座礁したままになっていた貨物船「DONG YU」が撤去され、タグボートにより富山港へ曳航されました。今後は、県外に運んで解体する予定だという。
全長97m、総トン数2,962トンというパナマ船籍の貨物船「DONG YU」が岩瀬浜沖で座礁したのは2024年1月19日。座礁から撤去までにかかった日数は158日、5カ月以上が経過していました。撤去作業は船主の依頼を受けた日本サルヴェージが実施。
岩瀬浜海水浴場は7月1日に予定通り海開きをおこなうそうです。
もっと早く座礁した船体を撤去出来なかったのか?
台風の影響を受ける前に船体の撤去作業が完了し、予定通り海開きがおこなわれることは良かったと思います。しかし、座礁後からの対応を振り返ると、もう少し早く撤去できなかったのだろうかという思いもある。
というのも貨物船「DONG YU」座礁後、乗組員が救助されるまでに6日間あった。座礁時点では大きな船体傾斜もなく、油の流出も発生していなかった。当然ながら、その6日間のあいだにも貨物船を離礁させるためタグボートによる試みは実施されていますが、結果に結びつかず。
そして、1月25日に荒天の影響で貨物船は当初座礁した位置から東に200メートル流され、左舷に10~12度傾斜した状態に。
撤去するまでの期間が延びれば費用は膨らみ、何より油の流出や浸水、沈没といった被害拡大にもつながる。出来る範囲の対応は実施していたと思いますが、初動時点から積荷の回収をおこない、ボラードプル(牽引力)の大きなタグボート隻数を増やして離礁作業にあたっていれば、その後の油流出を防ぐことは出来たのではないでしょうか。
今回、船体撤去作業にあたった日本サルヴェージはあくまでも船主からの依頼により作業をおこなっているだけで、事故の責任は貨物船の船長と船主にある。全ての船が事故を起こさないように安全運航に注力していますが、事故が無くなることはない。ある一定の確率で起きる事故に対して迅速に対応できない船主には、船主である資格がないと言える。
座礁事故発生からの時系列
- 2024年
1月19日 - 1月25日乗組員13人全員救助
船内の発電機が動かなくなり、非常用発電機も動かないとして乗組員から救助要請。貨物船は当初座礁した位置から東に200メートル流されていて、左舷に10~12度傾斜した状態。
- 1月28日貨物船「DONG YU」から油流出
貨物船「DONG YU」から沖合に向かって東西およそ1.6kmに渡り油流出。船の燃料である重油が漏れ出たものではないという推察。
- 6月12日2024年6月中に船体撤去の予定であることを発表
これまでに船内の油抜き取りは完了しており、船内の積荷回収や船体補修の作業が進行中
- 6月25日タグボートによる船体曳航
タグボートにより富山港へ曳航。今後は、県外に運んで解体する予定
貨物船「DONG YU」
船名 | DONG YU |
総トン数 | 2,962トン |
載貨重量トン | 5,500トン |
長さ | 97m |
幅 | 17m |
船籍 | パナマ |
建造年 | 2008年 |
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