広州サルベージ局のSEP船「华祥龙」クレーンとレグの改造完了

広州サルベージ局のSEP船「华祥龙」クレーンとレグの改造完了 起重機船、クレーン船
スポンサーリンク

広州サルベージ局のSEP船「华祥龙」クレーンとレグの改造完了

 2023年5月27日、広州サルベージ局の1,200トン吊りSEP起重機船「华祥龙」(HUA XIANG LONG)が行っていたアップグレードが完了。主なアップグレード内容はレグとクレーンブームの延長となっており、ブーム延長に伴ってジブレストの変更なども行われたようです。

 アップグレード後のクレーンブーム長さは不明ですが、メインフックの揚程は25m増加。建造時に90mだった4本のレグは15m延長され、最大作業水深は65mに。

 アップグレード前後の比較 

 アップグレード前後の画像を見ると、建造時はジブレストした状態でフックブロックの格納場所がほぼ真下くらいですが、アップグレード後の画像ではブームが延長された分だけ、フックブロック格納場所とブーム先端の位置が離れているのが分かる。

 アップグレード完了を報じる中国の記事では、レグの撤去と設置作業についてパイルシューと呼ばれるレグ底部を除くすべての作業を浮いている状態の起重機船で行ったという。造船所にある陸上のクレーンではなくクレーン船でレグの改造を行ったのは中国では初めてだそうです。鉛直性の確保や接続時の溶接量を考えるとSEP船をジャッキアップした状態で陸上クレーンを使用する方法が施工的に確実なのは明らかですが、どのような工夫をこらして解決しているかは不明。

 中国の記事を見て驚いたのはレグ15mの延長という改造に対してパイルシューまで取り替えているという点。これは、これまでのアップグレードには見られなかったやり方。SEP船「华祥龙」が完成したのは2020年なので、まだ3年しか経っていない。単に不具合があり、レグ延長に合わせて全交換したのかは不明ですが、SEP船のレグは船体部材の中で最も大きな荷重がかかり、見えない海底に挿し込むのでトラブルが発生しやすい部材といえる。

スポンサーリンク

1,200トン吊りSEP起重機船「华祥龙」

 1,200トン吊りSEP起重機船「华祥龙」は、2020年に広州市黄埔区にある中船黄埔文沖船舶有限公司で建造された。今回アップグレードが行われたのも同じ造船所のようです。

船名华祥龙
(HUA XIANG LONG)
クレーン能力1,200トン(メイン)
350トン(補助)
長さ130m
42m
深さ9m
レグ長さ90m → 105m
最大作業水深50m → 65m
プロペラ3,800kW×3(船尾)
2,000kW×3(船首)
DPSDP-2
甲板面積2,800m2
建造年2020年
アップグレード後のSEP起重機船「华祥龙」
出典:龙船风电网

レグ延長のアップグレードを行った中国のSEP船

スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

Crane1000をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました