アメリカのジョーンズ法対策としてSEP起重機船による風車資材の港内荷役を行わない方法で洋上風車の設置を行うという手法。以前の記事に出てきた台船に「Motion compensated platform」を搭載して風車資材を運搬するやり方に似てますね。途中までは同じですが最終段階が違います。
Maersk Supply Service 新設計のSEP起重機船

Maersk Supply Serviceが建造しようとしてるSEP起重機船自体は、ジョーンズ法に準拠しておらず、建造はシンガポールのSembCorp Marineで、2022年第4四半期にsteel-cutting ceremonyが予定されている。世界最大のクレーン船「Sleipnir」が建造された造船所ですね。
Maersk Supply Service to construct pioneering wind installation vessel for Equinor and bp to operate in the U.S. market
(Maersk Supply Serviceは、米国市場で運用するEquinorおよびbpの先駆的な風力設備船を建設します。)
29 March 2022 | Maersk Supply Service to construct pioneering Wind Installation Vessel
新設計のSEP起重機船の施工概要は、SEP起重機船が洋上風車設置場所に残り、タグボートとバージで風車資材を運搬。SEP起重機船に設けられた切り欠き部分に運搬台船を係留。台船上のトレイに乗った風車資材をリフトアップして受け取り。タグボートとバージは離脱。といった流れ。


出典:Youtube | Maersk Supply Service
”洋上の設置作業が30%高速化”に関しては、SEP起重機船の港に帰港して積み込みするという工程が無くなるので単純にその部分で工程短縮されているんだと思います。
👆施工イメージの動画もありますが、この動画を見て出来ると思えてしまう人は施工に携わらない方がいいでしょうね。
SEP起重機船のあの切り欠き部分に風車資材を積んだ運搬台船を運ぶのは無理かと。風車資材がSEP起重機船と干渉する高さで尚且つあのクリアランス。運搬台船の4隅にスラスター付けてても厳しいかも。SEPのレグがあるので運搬台船を大きくすることも出来ないし。
結局、静穏な港内で運搬台船の受け取りを行うハメになって、”洋上の設置作業が30%高速化”のメリットは消えて無くなりそうな気がします。
まだ今後、検討・改良の余地ありといったところでしょうか。
使用予定の洋上風力発電所
Maersk Supply Service が建造を予定している新設計のSEP起重機船は、アメリカの「Empire Wind 1 & 2」、「Beacon Wind」で使用される予定。
現地での建設開始は、設置船の建造次第ですが2024年の中旬以降くらいになるんですかね。ちょっと先の話になりそうです。
Maersk Supply Service awarded Preferred Supplier Agreement for second U.S. wind contract for its Wind Installation Vessel
(Maersk Supply Serviceは、風力発電設備船の2番目の米国風力契約について優先サプライヤー契約を締結しました)
Maersk Supply Service awarded PSA for second U.S. windfarm contract

- 設置位置:ニューヨーク州ロングアイランドの南東15〜30マイル、水深23m~41m。
- 発電容量:2GW(816MW+1,260MW)
- 風車基礎:着床式、他は不明
- 風車形状:未決定 Vestas V236-15.0 MW、138基
- 運転開始予定:2026年12月
- 設置位置:マサチューセッツ州ナンタケットの南20マイル、水深23m~41m。
- 発電容量:1,230MW
- 洋上設置開始予定:2028年
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