昨年10月7日の戦闘開始以降、海路で初めての支援物資がガザ到着
2024年3月15日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、初めてとなる海路を使用した支援物資がガザに到着しました。
支援物資200トンを積んだバージは、サルベージ兼救助船の「OPEN ARMS」に曳航されてキプロスのラルナカを3月12日午前9時頃(現地時間)出港。3ノット程度のゆっくりとした速力で、およそ3日間かけてキプロスからガザへ曳航を実施。200トンの食糧援助は約50万食分に相当し、ガザ地区で配布おこなわれるという。
海上からの支援物資輸送については、標的となり易く敵対行為を助長する危険な前例となる可能性が指摘されており、緊迫した状況の中で支援活動がおこなわれています。
輸送をおこなうバージは小型ですが200トンの支援物資を積んでいるため、海岸線から土砂を投入して沖側に簡易的な桟橋を構築し、必要最低限の水深を確保しているようです。しかし、キプロスからの曳航をおこなった曳船「OPEN ARMS」ではバージを桟橋に着桟させることは出来なかったようで、喫水の小さいゴムボートを使用して最終的な係留作業をおこなう様子が報じられています。
サルベージ/救助船「OPEN ARMS」
船名 | OPEN ARMS |
総トン数 | 427トン |
長さ | 36m |
幅 | 9m |
船籍 | スペイン |
建造年 | 1974年 |
出典:MarineTraffic | Greceanu Cristian
続く2隻目となる支援物資の輸送船へ積み込み作業開始
出典:X | World Central Kitchen(@WCKitchen)
3月15日、バージによる最初の支援物資がガザに到着した同日、World Central Kitchenはキプロスのラルナカで2隻目の支援物資輸送に向けて積込作業開始を明らかにしています。
2隻目の支援物資輸送に使用するのは「JENNIFER」という全長78.83mの貨物船。小型バージとは異なる自航式貨物船により輸送できる支援物資の量は増加。そして、応急的に建設した桟橋に貨物船を着桟することは出来ないため、船倉内に油圧クレーンを積み込んでいます。このクレーンにより、ガザ沖合でバージへの積み替えをおこない、近距離間のピストン輸送を考えているのかもしれません。
様々なリスクがある中で、危険と言われている海上からの物資輸送。人道支援を実施する方々の想いが無事に届くことを祈っています。
貨物船「JENNIFER」
船名 | JENNIFER |
総トン数 | 1,172トン |
載貨重量トン | 1,576トン |
長さ | 78.83m |
幅 | 9.95m |
船籍 | ギニアビサウ |
建造年 | 1984年 |
出典:MarineTraffic | simon de jong
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