異次元の施工速度、16MWの風力タービンを24時間で設置
2023年11月23日、中国のタービンメーカーGoldwind(新疆金風科技)は出力16MWの風力タービン「GWH252-16MW」設置作業を24時間という驚異的なスピードで完了したとSNSを通じて発表しました。”record-breaking 24hrs”(記録破りの24時間)と説明した上で、この偉業は単に建設コストを大幅に削減しただけではなく、将来のプロジェクトで洋上風力発電の可能性を拡大するための重要なブレークスルーになったと述べている。
中国の報道記事によると、これまでに同じ「GWH252-16MW」で記録されていた設置時間は76時間ということなので3分の1以下に短縮したことになる。
あまりにも設置時間が短いので、ハブにブレードを事前に取り付けて大組した状態で施工を開始していたんじゃないかと疑っていましたが、WeChatに投稿されている画像ではナセルとハブは一体化した状態、ブレードはそれぞれ単独で1枚ずつ取り付けていました。何かしら施工上の工夫が施されていると思われますが、詳細は不明。いずれにしてもすごい速さ。
異次元のスピードで16MW風力タービン設置作業をおこなったのは、1,200トン吊りSEP起重機船「華夏金租神大01」(hua xia jin zu shen da 01)。
SEP船「華夏金租神大01」は4カ月前に完成したばかり
SEP起重機船「華夏金租神大01」は、同型船の「華夏金租神大02」とほぼ同時期に建造され、2023年7月に完成・引き渡しがおこなわれた新造船。クレーンは2基搭載されており、ともに世界的に主流となっているLEC(Leg Encircling Crane)と呼ばれるレグの位置に設置されているタイプで、甲板スペースを最大限有効活用することができる。クレーンの最大吊り上げ能力は、それぞれ1,200トンと300トン。
大きな特長のひとつとして高い揚程があげられる。メインクレーンのブーム長さは150m、1,200トン吊りのメインフックと先端に400トン吊りの補助フックを備え、それぞれの揚程はメインフックが甲板上150m、補助フックが甲板上175mとなっている。
SEP起重機船「華夏金租神大01」の概要
船名 | 華夏金租神大01 (hua xia jin zu shen da 01) |
クレーン能力 | メイン:1,200トン(主) メイン:400トン(補) サブ:300トン |
揚程 | 甲板上 150m(主) 甲板上 175m(補) |
長さ | 106.6m |
幅 | 44.2m |
深さ | 8.45m |
レグ長さ | 110m |
最大作業水深 | 60m |
レグ能力 | 昇降:5,000トン/脚 最大支持:8,300トン/脚 |
レグ昇降速度 | 船体昇降時:24m/h レグ昇降時:32m/h |
プロペラ | アジマス 2,000kW×2(船尾) トンネル 1,500kW×2(船首) |
DPS | DP-1 |
宿泊設備 | 90人 |
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「GWH 252-16MW」2023年9月に384.1MWhの24時間発電記録
2023年9月1日、中国の福建省に設置されている今回と同型の16MW風力タービン「GWH 252-16MW」で24時間で384.1MWhの発電記録を樹立。24時間当たりの発電電力量が384.1MWhを記録した9月1日は、接近する台風11号(HAIKUI)の影響で最大風速23.56m/sの強風に見舞われていたという。
16MW風力タービン「GWH 252-16MW」の概要
タービン メーカー | 中国長江三峡 Goldwind |
型式 | GWH 252- 16MW |
発電容量 | 16MW |
ローター直径 | 252m |
ブレード長さ | 123m |
受風面積 | 50,000m2 |
発電電力量 | 66GWh /年 |
出典:Goldwind
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