捕鯨母船「関鯨丸」が竣工後、初の捕鯨に向けて下関を出港

捕鯨母船「関鯨丸」が竣工後、初の捕鯨に向けて下関を出港 国内ニュース
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捕鯨母船「関鯨丸」が竣工後、初の捕鯨に向けて下関を出港

2024年5月21日10時過ぎ、共同船舶の捕鯨母船「関鯨丸かんげいまる」が竣工してから初めてとなる捕鯨に向けて下関港を出港しました。「関鯨丸」は、昨年まで活躍していた「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船として下関市の旭洋造船で建造され、2024年3月に完成。

「関鯨丸」は下関を出港した後、東京を経由して東北、北海道沖の排他的経済水域(EEZ)内で操業する予定。

日本は2019年にIWCを脱退し、捕鯨を再開

日本は2019年6月30日にIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、2019年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しています。

捕鯨については世界各国で賛否が分かれていますが、日本政府の立場は科学的な調査をもとに一部の絶滅危惧種を除いて捕鯨を行うというもの。日本国内でもいろいろな意見がありますが、闇雲に鯨を捕獲しているのではなく、調査を行った上で捕獲量を管理しているという点は認識しておきたい。

我が国の捕鯨についての基本的考え方

我が国は、以下の基本認識の下、令和元年(2019年)6月30日をもってIWCを脱退し、同年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しました。

( 1 )鯨類資源は重要な食料資源であり、他の生物資源と同様、最良の科学事実に基づいて、持続的に利用されるべきである。

( 2 )食習慣・食文化はそれぞれの地域におかれた環境により歴史的に形成されてきたものであり、相互理解の精神が必要である。

捕鯨を取り巻く状況:水産庁 (maff.go.jp)
領海・排他的経済水域等模式図
出典:海上保安庁ホームページ (https://www1.kaiho.mlit.go.jp/ryokai/zyoho/msk_idx.html)
排他的経済水域とは?

 排他的経済水域(EEZ,Exclusive Economic Zone)とは、海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される自国の基線(海)から200海里(370.4km)の範囲。海上・海中・海底、及び海底下に存在する水産・鉱物資源並びに、海水・海流・海風から得られる自然エネルギーに対して、探査・開発・保全及び管理を行う排他的な権利(他国から侵害されない独占的に行使できる権利)を有する。

新捕鯨母船「関鯨丸」について

船名関鯨丸
総トン数9,299トン
長さ112.6m
21m
速力12ノット
最大乗船人員100人
航続距離7,000海里
新捕鯨母船「関鯨丸」
出典:MarineTraffic | elf hill
捕鯨母船「関鯨丸」の概要
  • 全長112.6m、幅21m、総トン数9,299トン
  • 航続距離は7,000海里(約13,000km)
  • 建造費75億円
  • 電気推進船
  • 100人分の居住スペースは全て個室
  • ドローン用デッキから100kmを飛行可能なドローンによる探鯨
  • 鯨を引き揚げるスリップウェイの傾斜が35°から18°に緩くなり70トンの揚鯨が可能
  • 鯨肉原料を貯蔵する保冷庫を従来の巨大冷艙から20フィートのリーファーコンテナ40基に変更

下関市の「関」と「鯨」の字を使用した船名「関鯨丸かんげいまる」には、新しい捕鯨母船を下関に「歓迎かんげい」するという意味が込められているそうです。

捕鯨母船「関鯨丸」の建造費用は75億円。全長112.6m、幅21m、定員91名、速力12ノット、航続距離は7,000海里(約13,000km)で南極海への到達が可能。船尾部分には鯨を引き揚げるスリップウェイ方式の揚鯨設備があり、傾斜が従来の35°から18°に緩くなったことで70トンの揚鯨が可能になったという。将来的な大型鯨種の捕獲枠追加にも対応。

捕獲した鯨を船内で鯨肉原料として生産して貯蔵する保冷庫は従来の巨大冷艙から複数のリーファーコンテナへに変更し、冷凍鯨肉が少ないときの電力消費量を抑えることが可能。20フィートコンテナ40基、袋製品保冷庫60tで合わせて860トンの冷艙容量を備えている。

yab山口ニュースがYouTubeにアップロードしている動画で捕鯨母船「関鯨丸」について分かり易く説明されていました。その中で、甲板上のドローン用デッキから100km以上を飛行可能なドローンを駆使して探鯨することが出来ると説明。捕鯨にもドローンが使用されるようです。ドローンで上空の高い位置から探鯨すると発見しやすそうなので効果は高いのかも。

YouTubeリンク先 yab山口ニュース | 新捕鯨母船「関鯨丸」と下関の未来

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【関連】捕鯨母船「関鯨丸」

下関で新造捕鯨母船の建造に向けた安全祈願式 建造費は約70億円
国からの許可を得て排他的経済水域内で商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社は、山口県下関市の旭洋造船で新たな捕鯨母船の建造を開始。新造船の建造は、現在所有している捕鯨母船「日新丸」の老朽化に伴うもので2024年3月に引き渡し予定。
下関市の旭洋造船で新捕鯨母船「関鯨丸」の起工式
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下関市の旭洋造船で建造中の新捕鯨母船「関鯨丸」進水式
2023年8月31日、国内で唯一商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社が、老朽化した現行の「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船として建造している「関鯨丸」の進水式がおこなわれました。
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捕鯨母船「関鯨丸」が竣工後、初の捕鯨に向けて下関を出港
2024年5月21日10時過ぎ、共同船舶の捕鯨母船「関鯨丸」が竣工してから初めてとなる捕鯨に向けて下関港を出港しました。「関鯨丸」は、昨年まで活躍していた「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船として下関市の旭洋造船で建造され、2024年3月に完成
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