国からの許可を得て排他的経済水域内で商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社は、山口県下関市の旭洋造船で新たな捕鯨母船の建造を開始。新造船の建造は、現在所有している捕鯨母船「日新丸」の老朽化に伴うもので2024年3月に引き渡し予定。
下関で新造捕鯨母船の建造に向けた安全祈願式 建造費は約70億円
2023年2月10日、商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社は、山口県下関市の旭洋造船で新たな捕鯨母船の建造を開始する安全祈願式を行った。共同船舶は国の許可を得て排他的経済水域内で、ニタリクジラ・ミンククジラ・イワシクジラの3鯨種を対象として、捕獲・生産・販売を行っている。
新造する捕鯨母船は、現在所有している捕鯨母船「日新丸」の老朽化に伴うもので、船名はまだ未定となっており来月発表されるという。新造捕鯨母船は2024年3月に引き渡し予定。
船名 | 未定 |
総トン数 | 約8,970トン |
長さ | 112.6m |
幅 | 21m |
速力 | 12ノット |
定員 | 91名 |
航続距離 | 7,000海里 |
建造費用は約70億円。全長112.6m、幅21m、定員91名、速力12ノット、航続距離は7,000海里で南極海への到達が可能。船尾部分にはスリップウェイ方式の揚鯨設備があり揚鯨ウインチを使用して70トンの揚鯨ができる。将来的な大型鯨種の捕獲枠追加にも対応。
捕獲した鯨を船内で鯨肉原料として生産して貯蔵する保冷庫は従来の巨大冷艙から複数のリーファーコンテナへに変更し、冷凍鯨肉が少ないときの電力消費量を抑えることが可能。20フィートコンテナ40基、袋製品保冷庫60tで合わせて860トンの冷艙容量を備えている。
日本は2019年7月1日から捕鯨業を再開
日本は2019年6月30日にIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、2019年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しています。
捕鯨については世界各国で賛否が分かれていますが、日本政府の立場は科学的な調査をもとに一部の絶滅危惧種を除いて捕鯨を行うというもの。日本国内でもいろいろな意見がありますが、闇雲に鯨を捕獲しているのではなく、調査を行った上で捕獲量を管理しているという点は認識しておきたい。
我が国の捕鯨についての基本的考え方
我が国は、以下の基本認識の下、令和元年(2019年)6月30日をもってIWCを脱退し、同年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しました。
( 1 )鯨類資源は重要な食料資源であり、他の生物資源と同様、最良の科学事実に基づいて、持続的に利用されるべきである。
( 2 )食習慣・食文化はそれぞれの地域におかれた環境により歴史的に形成されてきたものであり、相互理解の精神が必要である。
捕鯨を取り巻く状況:水産庁 (maff.go.jp)
2022年の捕獲枠を満了 ニタリクジラ187頭、イワシクジラ25頭
2022年の商業捕鯨では6月に広島を出港した日新丸船団により、東北の三陸沖でニタリクジラ187頭、イワシクジラ25頭が捕獲され、捕獲枠を満了して11月7日に山口県下関港で最終の荷揚げが行われています。途中、仙台港や東京の豊洲、大阪港でも鯨の生肉が荷揚げされました。
鯨の生肉で希少部位とされる尾の身は高値で買い付けがおこなわれ、豊洲では21万円/kg、大阪では25万円/kg。史上最高値となったのは最終荷揚げが行われた下関漁港地方卸売市場で、50万円/kgという高値が付き競り落とされたそうです。
日本捕鯨協会のゆるキャラ「バレニンちゃん」

出典:Twitter | @Baleninechan
日本捕鯨協会のゆるキャラ「バレニンちゃん」。南極海のクジラという設定の「バレニンちゃん」は、捕鯨の伝統と食文化を守るためにやってきた。あらゆる漁業資源の適正な利用を訴えつつ、自らの体に宿る栄養成分イミダペプチド・バレニンによって世界中の人々の元気を取り戻すスーパーヒーローを目指しているそうです。
このゆるキャラの名前にもなっているバレニンとは、一体何なのか?
バレニンは、イミダゾールジペプチドと呼ばれるアミノ酸の一種。歯をもたないヒゲクジラ類の筋肉中に多量に含有され、生活習慣病の予防や老化抑制、そして疲労を軽減する抗疲労作用があるとされています。
疲労予防以外にも、筋肉持久力の向上や疲労回復機能を持っている「バレニン」。健康に良さそうなので食べてみたいと思っても、市場に流通している量がそもそも少ないので購入する機会が無い。現状の捕獲量では、口にすることは難しいのかも。
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