総工費約50億円、複合養殖船「九洲一号」建造開始
2023年10月26日、中国の広東省 珠海市で複合養殖船「九洲一号」(Jiu Zhou Yi Hao)の建造が開始されました。船の大きさは全長155.8m、幅44.0m、深さ24.25m。総工費は2億5,000万元、日本円に換算するとおよそ50億円。2024年末までに完成・運用開始予定。
養殖設備としては、最大喫水20mで養殖水域は80,000m3。船内には12の養殖ケージがあり、段階的な養殖が可能で年間最大生産量は、6,000トンに達するという。
多機能が搭載された複合養殖船「九洲一号」
複合養殖船と書きましたが、中国の記事では ”遊弋式水体自然交換型養殖工船” や ”深遠海養殖工船” と紹介されています。漁業養殖という主要機能に加えて、いろいろな機能が搭載されており、自航式の船舶であるという点がそのうちのひとつに挙げられる。
複合養殖船「九洲一号」は、自航式でDP-1の自動船位保持装置を装備。これにより養殖魚にとって常に最適な環境へ移動することが可能で、海の環境悪化や荒天時の緊急避難も容易におこなうことが出来る。さらに、船上では釣りや軽食など観光サービスも提供するという。
養殖魚ではなく天然魚を養殖?
複合養殖船「九洲一号」は餌の貯蔵や自動給餌、産業用ロボットによる漁網の清掃、船の状態監視、養殖生体情報の監視、海陸一体の無線通信などの機能を備え、稚魚の放流や漁獲のためのインターフェースも備えている。
養殖能力は、沖合に設置された養殖いかだ3,000以上に相当するという。大きな目標として、このような従来の養殖水域を養殖船によって置き換えることが挙げられているそうです。そして、複合養殖船「九洲一号」での養殖魚を天然水産養殖と位置付け、海洋生態系を効果的に保護することもできると紹介されています。
個々の特長に斬新なものは無いようですが、詰め合わせているという点は新しいと言えるのかも。しかし、”水产品自然养殖”(水産物の自然繁殖、天然水産養殖)という表現には少し違和感を感じますが、より天然魚の生育環境に近づけようとする努力は伺えます。
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