2,000トン吊りSEP船「大桥海风」メインクレーン搭載
招商局重工(江蘇)で中国鉄建大橋工程局向けに建造している2,000トン吊りSEP起重機船「大桥海风」(da qiao hai feng)のメインクレーンが搭載されました。
2024年1月24日に進水作業がおこなわれた時は、メインクレーンのAフレームだけが設置されているという状態でした。進水した時の予定では4月末までに完成・引き渡しがおこなわれるということなので、引き続きメインクレーンのワイヤーリービングやフック取り付け、レグ延長などの作業が進められると思いますが工程的には結構厳しそう。
2,000トン吊りSEP起重機船「大桥海风」(da qiao hai feng)の概要
船名 | 大桥海风 |
クレーン能力 | 2,000トン |
長さ | 不明 |
幅 | 不明 |
レグ長さ | 不明 |
最大作業水深 | 70m |
建造年 | 2024年4月(予定) |
進水後の初ジャッキアップ操作に9時間
中国の記事で進水後に初めておこなわれたジャッキアップ作業の様子が紹介されていました。建造場所の桟橋でおこなわれたジャッキアップ場所の水深は8m。船体を海面から3.5m持ち上げる位置までジャッキアップした時にレグが海底に埋まり込んだ根入れ深さは7m。そして、一連のジャッキアップ作業に要した時間は9時間。
海底の地質条件によってレグが埋まり込む深さは異なりますが、初めてのジャッキアップ操作とは言え、水深8mの場所で船体を3.5mジャッキアップするのに9時間かかっています。船体をジャッキアップさせることで波の影響を受けないというのはSEP船最大のメリットですが、不確定要素の多い海底地盤を反力にレグを突き立てる操作には思いのほか時間を要する。
以前に記事で取り上げましたが、テレビ東京系列「日経スペシャル ガイアの夜明け」で放送された「ニッポンの風をつかめ! ~巨大洋上風力の最前線~」に取り上げられていた「石狩湾新港洋上風力発電所」で作業する2,500トン吊りSEP起重機船「BLUE WIND」も風力タービン設置前の船体ジャッキアップ作業で悪戦苦闘する様子が紹介されていました。
その時は、水深22mの海域で午前7時から船体ジャッキアップ作業を開始。レグが海底に10m埋まり込んだ状態でも反力は確保できず、船体を持ち上げることが出来ない状態で悪戦苦闘。最終的にレグが何mまで埋まり込んだのかは不明ですが、当初、4時間で完了すると想定していた船体ジャッキアップ作業が完了したのは午後10時20分、実に15時間以上が経過していました。
施工性の面では大きな恩恵があるSEP船のジャッキアップという特性ですが、工程に大きく影響を与えるリスクを抱えている。まだまだ改良の余地があり、SEP船を進化せていく上で研究開発すべき問題点の一つと言えるのかもしれません。
よく読まれている記事