MaerskのSEP船専用バージとタグボートを建造
New partnership enables faster offshore wind installations in the U.S.
(新たなパートナーシップにより、米国での洋上風力発電設備の迅速な設置が可能になります。)
https://www.maersksupplyservice.com/2024/03/15/edison-chouest-offshore-wind-partnership/
2024年3月15日、Maersk Supply Serviceはシンガポールで建造しているジョーンズ法に対応したSEP起重機船の専用輸送船に関する建造と運用に関してEdison Chouest Offshore(ECO)と提携したことを発表。
専用輸送船はECOが所有・運航をおこなうという。タグボート2隻とバージ2隻はアメリカのボリンジャー造船所(Bollinger Shipyards)で建造され、2026年に引き渡し予定。
ジョーンズ法という障壁
シンガポールで建造中のSEP起重機船は、米国建造というジョーンズ法の要件を満たしていないため、アメリカ国内の拠点港で風力タービン部材を積み込み、設置場所へ運搬することが出来ない。
Maersk Supply Serviceが建造中のSEP起重機船は船体の一部に切欠きが設けられており、その部分に専用輸送船を係留。トレイに積んで運んできた風力タービン部材をリフトアップして荷受けするという仕組み。実際の施工を考えるとなかなか厳しそうな方法のようにも思えますが、何かしら対策を考えているのかもしれません。
Maersk Supply Serviceの新しい設置コンセプトにより、アメリカ国内での洋上風力タービン設置作業を大幅に高速化し、30%の効率向上が見込まれている。ですが、30%効率向上という数値は風力タービン部材を別の輸送船で運搬し、ジョーンズ法に準拠していないSEP船で施工する場合を比較対象にしているため、ジョーンズ法に準拠するSEP船での施工速度には遠く及ばない。
しかし、アメリカ国内で建設が進められている「Vineyard Wind 1」の進捗からも分かるように、台船で風力タービン部材を運搬する方法での施工速度が異常に遅いため、自国建造のSEP船がある程度の隻数揃う前に何かしら対策が必要なのは確か。
アメリカのジョーンズ法による洋上風力建設への影響
アメリカ国内の地点間における国内輸送(内航)をおこなう船舶を限定するジョーンズ法と呼ばれる法律。その要件には米国船籍、米国人配乗、米国人所有に加えて、他国には無い米国建造という要件が含まれており、洋上風力発電所建設時の大きな障壁となっている。
- 米国船籍
- 米国人配乗
- 米国人所有
- 米国建造
ジョーンズ法の影響を受ける風力タービン設置作業では、SEP船など他国建造の設置船甲板に部材を積み込みして拠点港から設置場所へ運ぶことが出来ないため、ジョーンズ法に準拠した船舶で運搬する方法以外にも様々な対策が考えられている。
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