今年1月に石垣沖で座礁の貨物船、台風による波浪で船体分断
2023年1月24日に沖縄県の竹富町浜島沖で座礁したパナマ船籍の貨物船「XIN HAI ZHOU 2」が台風6号による波浪の影響で船体が分断。
報道されている情報によると、8月4日朝に石垣海上保安部の巡視船が台風被害状況の確認で航行していたところ、座礁船が分断しているのを見つけたという。油や積み荷のヤシガラなどの流出は確認されていないとのことですが、画像を見る限り現地の波高は依然として高く海面は白濁している状態なので文字通り確認されていないだけで流出している可能性は高い。
さらに、座礁した貨物船に積まれていたとみられる救命艇が石垣市名蔵湾沿岸に漂着しているのが確認されている。
撤去作業の工程、サンゴ礁への影響
(※画像は座礁事故以前に撮影されたもの)
出典:MarineTraffic.com | Sergei Skriabin
- 2023年
7月13日撤去作業開始船体軽量化のため、積荷や搭載物を撤去
- 12月までに船尾部分の撤去
- 2024年
1月までに船首部分の撤去 - 2月撤去完了(予定)
貨物船「XIN HAI ZHOU 2」の撤去作業は、7月13日に開始されたばかり。撤去方法は、まず船体の軽量化を図るため積荷などの撤去をおこない、その後、船体を船首側と船尾側に分断して12月までに船尾分を撤去、来年1月までに船首部分を撤去するという予定でした。
船体の運搬方法として、船首ブロックを浮上・曳航させ、船尾ブロックに関してはその場で解体・小運搬により撤去するという手順でしたが、今回の波浪による分断で船首ブロックがダメージを受けていれば想定していた方法で浮力を確保して浮上・曳航出来ない可能性はある。
撤去方法として船体を分断する予定だったので、台風の波浪により分断されたことで手間が省けたようにも見えますが、分断後の画像では船尾側の船倉部分が見えなくなっているので船体ブロックが3つ以上に分断されている可能性がありそう。現状の調査結果によっては、撤去方法や手順が変更されるかもしれない。
サンゴ礁や周辺海域への影響
8月5日以降に天候が回復した後、船体の状況や周辺海域の環境への影響を調査するということですが、波浪により船体が動いたことで海底のサンゴ礁は少なからず物理的な影響を受けているとみられます。さらに、これまで流出していた積み荷のヤシガラがさらに広範囲へ拡散されているものと思われる。
台風という自然現象による天災とは言え、座礁した場所や船体状況を考えると台風時期が来るとこのような事態になることが明らかだっただけに、不可抗力では片付けられないような気もする。今後の撤去工程に関しては、現状調査をおこない作業方針を決めるという事ですが、さらなる台風襲来によって状況が変わる可能性は大いにありそう。
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