洋上風車への貨物輸送に自律型ドローン使用
2023年10月30日、デンマークの洋上風力発電に関する大手企業Ørstedは、沖合にある洋上風力タービンへ大型のドローンを使用した貨物輸送テスト時の様子を公開しました。
大型ドローンを使用した貨物輸送のテストは、イギリス沖合で稼働している洋上風力発電所「Hornsea 1」でおこなわれたという。使用したドローンは翼を含めた幅が2.6m、重量58kgという巨大なドローン。最大で68kgの貨物を輸送することが出来るという。Ørstedでは、これまでにイギリス以外で使用してきた小型ドローンの専門知識をもとに、大型自律ドローンの試験運用をおこなっているそうです。
余談ですが、Ørstedの掲載記事ではドローンのサイズについて、アホウドリが翼を広げた大きさでキリンの赤ちゃんの体重と同じ重さという例えで紹介しています。ただ、全然ピンとこないのは、日本人だからなのでしょうか。向こうの方にとっては、アホウドリもキリンの赤ちゃんも身近な存在なのかもしれません。
CTVやSOVからドローンを操作
ドローンは、CTV(Crew Transfer Vessel)やSOV(Service Operation Vessel)から操作するという。Ørstedが公開した大型自律ドローンによる貨物輸送の動画では、全長81mのSOV船「Edda Mistral」の船尾から離陸したドローンが洋上風力タービンのナセルへ貨物を届ける様子が紹介されています。とても滑らかな動きで、危なげなく貨物輸送を成し遂げており、これで現況最大68kgの貨物輸送が出来るとなると大いに期待が持てそうな感じ。
Ørstedも掲載記事の中で、大型自律ドローンを使用した貨物輸送によってコストと停止時間が削減され、洋上風力発電所運用の安全性と効率が向上すると述べている。
ただ、場所が場所なので天候の急変などによっては輸送貨物の破損や海への落下、ドローンの墜落といったリスクはありそう。人的被害は出ないかもしれませんが、経済的な損失を考えるとある程度の運用リスクはあるのかもしれません。
デンマークでは100kgの貨物輸送を想定したプロジェクト
ヨーロッパでは洋上風力発電所運用時の貨物輸送にドローンを活用する開発が多くおこなわれています。
デンマークでは、2022年1月から2024年12月というプロジェクト期間でFlexible Offshore Drone for Wind(FOD4Wind)と呼ばれるプロジェクトが進められています。こちらは、充電ステーションを備えたSOV船から動作する完全自律型ドローンを使用して洋上風力発電所のメンテナンス作業を効率化するといったもの。ドローンに搭載したカメラによる点検や交換部品の運搬にドローンを使用することで洋上風車の停止期間を短縮し、CO2排出量やメンテナンスコストなどを削減する効果が期待されています。ドローンを使用して運搬する貨物重量は12㎏から開発がおこなわれ、最終的な目標は100㎏の部材をドローンで運搬することを目指しています。
SOV船「Edda Mistral」の概要
船名 | Edda Mistral |
総トン数 | 4,873トン |
長さ | 81m |
幅 | 17m |
深さ | 7.3m |
エアドラフト | 38m |
定員 | 60人 |
建造年 | 2018年 |
出典:Edda Wind
大型自律ドローンによる貨物輸送テスト
Ørstedが公開した沖合にある「Hornsea 1」の洋上風力タービンへ大型自律ドローンにより貨物輸送テストをおこなった動画。
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