NEDOが1基10MW以上の浮体式洋上風力実証事業2件を採択
2024年6月11日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はグリーンイノベーション基金事業の一環として「浮体式洋上風力実証事業」について、2件の研究テーマを採択したと発表。
浮体式を中心に洋上風力発電のコスト低減・導入拡大を目指す「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトとして、これまでに「次世代風車」、「浮体式基礎製造・設置低コスト化」、「洋上風力関連電気システム」、「洋上風力運転保守高度化」の4分野を対象とした、18テーマの要素技術研究開発をフェーズ1で進めている。
今回採択した「浮体式洋上風力実証事業」は、「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトのフェーズ2にあたり、日本の産業競争力強化に向けてグローバル市場を見据え、コスト目標・タクトタイム目標などを設定した、1基10MW以上の大型風車を用いた実海域における浮体式洋上風力発電実証事業を実施するという。
2024年2月にケイライン・ウインド・サービスなど3社が浮体式洋上風車向け専用船構想に係るAiP認証を取得した「低コスト施工技術(風車浮体設置)の開発」は、グリーンイノベーション基金事業のフェーズ1としてNEDOの助成を受けて進められました。
次世代風車技術開発事業 | ・風車仕様の最適化 ・風車の高品質大量生産技術 ・浮体搭載風車の最適設計 ・次世代風車要素技術開発 ・低風速域向けブレード |
浮体式基礎製造・ 設置低コスト化技術開発事業 | ・浮体基礎の最適化 ・浮体の量産化 ・係留システムの最適化 ・ハイブリッド係留システム ・低コスト施工技術の開発 |
洋上風力関連電気 システム技術開発事業 | ・高電圧ダイナミックケーブル ・浮体式洋上変電所 |
洋上風力運転保守高度化事業 | ・運転保守及び終戦技術の開発 ・デジタル技術による予防保全・メンテナンス高度化 ・監視及び点検技術の高度化 ・落雷故障自動判別システムの開発 |
出典:NEDO | 洋上風力発電の低コスト化
(https://green-innovation.nedo.go.jp/project/offshore-wind-power-generation/progress/)
採択した実証事業では15MW超の風力タービン設置を計画
今回採択した2件の浮体式洋上風力実証事業では、浮体基礎としてセミサブ型を採用した計画が進められているようです。浮体に搭載する風力タービンはNEDOの説明だと10MW以上となっていますが、事業概要資料によると15MW超。設置基数は、秋田県南部沖が2基で愛知県沖が1基。
秋田県南部沖の実証事業では、沖合約25km、水深約400mの海域に浮体および風力タービンを設置する計画。想像しただけでも難易度が高そう。浮体製造、風力タービン搭載、一体化した風車の曳航、浮体係留、ケーブル敷設など全ての工程が気になる作業ばかり。海外展開を視野に入れる程の研究開発がどのようなものなのか、という点にも注目ですね。
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