下関市の旭洋造船で新捕鯨母船「関鯨丸」の起工式
2023年6月21日、農林水産大臣による許可に基づき排他的経済水域内において国内で唯一商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社は、老朽化した現行の「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船「関鯨丸」の起工式をおこないました。
新造船の建造は山口県下関市の旭洋造船が手掛けており、建造を開始する安全祈願式を2023年2月におこなっている。
新捕鯨母船「関鯨丸」の概要
新造する捕鯨母船は、現在所有している捕鯨母船「日新丸」の老朽化に伴うもので、船名は「関鯨丸」。船名の由来は、下関市の「関」と「鯨」の字を使い、新しい母船を下関に「歓迎」するという意味が込められているという。新造捕鯨母船は2024年3月に引き渡し予定。
- 2023年2月着工、安全祈願式
- 2023年6月起工式
- 2023年9月進水
- 2024年3月竣工・引き渡し
船名 | 関鯨丸 |
総トン数 | 約8,970トン |
長さ | 112.6m |
幅 | 21m |
速力 | 12ノット |
定員 | 91名 |
航続距離 | 7,000海里 |
建造費用は約60億~70億円。全長112.6m、幅21m、定員91名、速力12ノット、航続距離は7,000海里で南極海への到達が可能。船尾部分にはスリップウェイ方式の揚鯨設備があり揚鯨ウインチを使用して70トンの揚鯨ができる。将来的な大型鯨種の捕獲枠追加にも対応。
捕獲した鯨を船内で鯨肉原料として生産して貯蔵する保冷庫は従来の巨大冷艙から複数のリーファーコンテナへに変更し、冷凍鯨肉が少ないときの電力消費量を抑えることが可能。20フィートコンテナ40基、袋製品保冷庫60tで合わせて860トンの冷艙容量を備えている。
日本は2019年7月1日から捕鯨業を再開
日本は2019年6月30日にIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、2019年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しています。
捕鯨については世界各国で賛否が分かれていますが、日本政府の立場は科学的な調査をもとに一部の絶滅危惧種を除いて捕鯨を行うというもの。日本国内でもいろいろな意見がありますが、闇雲に鯨を捕獲しているのではなく、調査を行った上で捕獲量を管理しているという点は認識しておきたい。
我が国の捕鯨についての基本的考え方
我が国は、以下の基本認識の下、令和元年(2019年)6月30日をもってIWCを脱退し、同年7月1日から大型鯨類を対象とした捕鯨業を再開しました。
( 1 )鯨類資源は重要な食料資源であり、他の生物資源と同様、最良の科学事実に基づいて、持続的に利用されるべきである。
( 2 )食習慣・食文化はそれぞれの地域におかれた環境により歴史的に形成されてきたものであり、相互理解の精神が必要である。
捕鯨を取り巻く状況:水産庁 (maff.go.jp)
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