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大型クルーズ船の処女航海 行き先はスクラップヤードかもしれない

観光、レジャー

 ドイツの造船所「MV Werften」で建造中の大型クルーズ船「Global Dream」が未完成のままスクラップ処分される可能性が高くなっているそうです。建造を続行するには800億円の資金が必要。

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造船所「MV Werften」、親会社「ゲンティン香港」両方倒産

 大型クルーズ船「Global Dream」の建造を行っていたドイツの造船所「MV Werften」は2022年1月に破産手続き申請をした。経営者側はその理由を新型コロナウイルスのあおりを受けたとしている。

 そして、「MV Werften」の親会社「ゲンティン香港(Genting Hong Kong Limited)」も法人登記先であるバミューダの最高裁判所に会社清算の申し立てを行っている。「MV Werften」の破産後、資金繰りが行き詰まったようだ。実際、「ゲンティン香港」は2021年5月に17億ドル(約1950億円)という記録的な赤字を計上していた。

倒産・清算・破産とは?

倒産 倒産とは、法律用語ではなく、一般用語として用いられるもの。一般に会社(法人)が経済的に破綻して弁済期にある債務を弁済できず、経済活動を継続できなくなることを指す。

清算倒産状態になった会社の財産を換価して債権者に可能な限り弁済すること。会社の存続・再建を予定しない。

破産債権者の同意の有無に関係なく、破産管財人の管理の下に厳格な法的手続きに従って会社を清算する場合に用いられる倒産手続き。

「Global Dream」、「Global Dream II」の2隻を建造中

 ドイツの造船所「MV Werften」では「Global Dream」、「Global Dream II」という2隻の大型クルーズ船を建造中でした。

 「Global Dream II」は、2019年12月9日にドイツのRostockで起工式(Keel Laying)が行われ、建造が始められたが、新型コロナウイルスの影響で2020年に造船所が一時的に閉鎖されるなど、建造が遅れていた。結果として、納入された設備機器は売りに出され、下部船体はスクラップ価格で処分される予定。

Wismarへ向けてRostockのドックから出港する「Global Dream」の船体中央部
出典:Cruise Industry News

 問題の「Global Dream」は2018年9月11日に同じくRostockで起工式(Keel Laying)が行われ、2019年11月には3分割で建造されていた船体がWismarにあるドックに集められ、さらに建造が進められていた。

「Global Dream」の建造続行には800億円の資金が必要

 「Global Dream」は完成すると全長342m、幅46.4m、総トン数208,000トン、世界クラスの大型クルーズ船になる予定であった。建造進捗は75%。

 建造費の推定総額は15億ユーロ(約2000億円)。建造を続行するには6億ユーロ(約800億円)の資金が必要だった。救世主は現れていない。

造船所「MV Werften」の売却先が決まる

 造船所「MV Werften」の売却先は「Thyssenkrupp Marine Systems」というドイツの造船グループ企業に決まったそうです。

 「Thyssenkrupp Marine Systems」は、ロシアのウクライナ侵攻により緊張が高まる中、2024年から軍艦を建造する予定。なので2023年末までに「Global Dream」を移動させてドックが使用できる状態になることを望んでいる。

Wismarでの「Global Dream」建造続行は難しい

 売却先が決まったことにより、現在「Global Dream」がいる「MV Werften」Wismarで建造を続行する事が難しくなった。今後数週間で「Global Dream」の買い手が見つからない場合、入札による方法へ移行するようで、そこにはスクラップ業者と関係の深い船舶ブローカーの参加も含んでいる。

「Global Dream」建造を支援するところが出てくるかも?

 ドイツの地元新聞「Ostsee-Zeitung」によると、クルーズ船造船会社の「Meyer Werft」が「Global Dream」の完成を支援する可能性があるそうです。「Meyer Werft」は先日完成したディズニーのクルーズ船「Disney Wish」を建造したドイツの造船所。

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