特殊杭打ち船「Svanen」アップグレード
Major upgrade for Van Oord’s heavy-lift installation vessel Svanen
(Van Oord の重量物運搬船 Svanen を大幅にアップグレード)
https://www.vanoord.com/en/updates/major-upgrade-van-oords-heavy-lift-installation-vessel-svanen/
2023年12月11日、Van Oordは特殊杭打ち船「Svanen」の大規模なアップグレードを発表しました。アップグレードの開始時期については不明ですが、2024年第3四半期にはアップグレードされた「Svanen」の運用開始が予定されているということなので、早い段階でアップグレード作業が開始されるものと思われる。
「Svanen」のアップグレード内容
今回おこなわれる「Svanen」のアップグレードにおいてメインとなるのはガントリー部分の拡張と吊り上げ能力の増強。拡張するガントリー部分の製造は、Holland Shipyards Groupによって製造され、設置作業には高さ200mのMammoetのクレーンが使用される予定。
アップグレードはオランダのいくつかの場所、主にロッテルダムでおこなわれるということなので、SEP船「Wind Orca」「Wind Osprey」アップグレードのためスヒーダムに設置されている最大3,200トン吊りリングクレーン「PTC210-DS」が使用される可能性が高そう。
アップグレード後の予定
出典:Van Oord
2023年に「Svanen」はドイツ沖合のバルト海に建設中の「BALTIC EAGLE OFFSHORE WIND FARM」でモノパイル打設をおこなっていましたが、予定されていた50本の施工を完了して9月にはオランダのロッテルダムへ帰港しています。
Van Oordが発表した記事によると、アップグレード後「Svanen」が最初におこなう作業は前回と同じバルト海のポーランド沖で建設が予定されている「Baltic Power offshore wind farm」。Vestas製の15MW風力タービン「V236-15.0MW」の基礎となるモノパイルを設置する予定。
「Svanen」の概要
出典:Van Oord
1990年に建造された「Svanen」は元々、橋の建設用に設計されていました。2005年にオランダの洋上風力発電市場でエネルギー転換が始まり、「Svanen」はモノパイルとトランジションピース設置のために改造を実施。以降、現在までに700を超えるモノパイル打設の実績を積み上げていますが、取り扱うモノパイルの寸法と重量は年々増加。2017年にもアップグレードがおこなわれたようですが、今回さらに大規模なアップグレードを実施することになったという。
「Svanen」の概要(アップグレード前)
船名 | Svanen |
吊り上げ能力 | 4,400トン (索具を除外) |
揚程 | 72.0m(甲板上) |
長さ | 102.75m |
幅 | 74.6m |
深さ | 6.0m |
喫水 | 4.5m |
建造年 | 1990年 |
「Svanen」のクレーンは何トン吊り?
当初の吊り上げ能力は、8,700トンでした。しかし、現在公開されているスペックでは4,400トン。「Svanen」の船体仕様が掲載されているMPI Offshoreの説明では2017年におこなわれたアップグレードにより、メインホイストにそれぞれ2,000トンを吊り上げるための2つのスプレッダービームが設置されたと書かれています。船体仕様に書かれている4,400トンの能力は ”索具を除外”(exclude rigging)となっているので、スプレッダービームの重量が1基当たり200トン程度だとすると2つあるメインホイストの能力がそれぞれ2,000トンというのは納得できる。
しかし、今回Van Oordが発表したアップグレード内容では、吊り上げ能力を 3,000トン→4,500トンへ増強と書かれているので、ちょっと意味不明。結局、謎を解明することは出来ませんでした。
船体仕様のリンク先 MPI Offshore | Svanen
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