600トン吊りクレーン船「鉄建潜01」の改造完了
2023年9月26日、600トン吊りのクレーンを搭載したクレーン船「鉄建潜01」(TIE JIAN QIAN 01)の改造が完了したそうです。ただ、今回行われた改造はクレーンではなく、ウィンドラス。油圧式から電動式に変更され、巻き上げ能力を300kN(約30トン)から600kN(約60トン)へ増強。ウィンドラスの改造以外にも船体構造の強化やフェアリーダーなど付属品の交換がおこなわれたという。
元はフローティングドックだった船を改造
だいたい察しは付いていると思いますが、クレーン船「鉄建潜01」は見ての通り、元はフローティングドックとして2015年に建造されました。そして、2021年5月に完了した改造によって600トン吊りのクレーンが搭載されたようです。
大きな特徴は半潜水式の船体を沈め、船底を着底させた状態で作業できるという点。このようなクレーン船を当ブログでは、着座式クレーン船と呼んでいます。600トンのクレーンを搭載した現時点でどの程度船体を沈められるのかは不明ですが、建造当初のフローティングドックでは最大深度25.5m。
最も船体を沈めた状態で、揚程は143m。着座した状態でも最大吊り上げ能力600トンは変わらない。改造の目的は、洋上風力発電設備の設置作業をおこなうためで、甲板上には約1,900m2の巨大なデッキを搭載しており、風力タービン部材を積み込んで運搬したり、自船でブレードを大組するために使用されるという。
船名 | 鉄建潜01 |
クレーン能力 | 600トン |
揚程 | 143m |
長さ | 82.8m |
幅 | 40m |
深さ | 6m |
建造年 | 2015年1月 |
中国の着座式クレーン船
出典:龙船风电网
出典:龙船风电网
出典:南通润邦重机有限公司
出典:交通运输部烟台打捞局
船名 | クレーン能力 | 揚程 | 長さ | 幅 | 高さ | 最大作業水深 |
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鉄建潜01 | 600トン | 143m | 82.8m | 40m | 不明 | 不明 |
雄程9 | 600トン | 不明 | 97.5m | 92m | 118m | 52m |
巨杰702 | 700トン | 140m | 86m | 36m | 不明 | 24m |
華能博強02 | 800トン | 205m | 140m | 37m | 不明 | 不明 |
德浮1200 | 1,200トン | 不明 | 106m | 42m | 18m | 10m |
中国の着座式クレーン船は、これまでに記事で取り上げたものだけで5隻います。ほとんどが改造船ですが、「德浮1200」だけは着座式クレーン船として建造された新造船。
もともと高さのあるフローティングドックをベースに改造を施し、さらに背の高いクレーンを搭載して風力タービン設置のための揚程を確保。一見、発想は安直に思えますが、半潜水式の性能により船を沈め、さらに着底させて波浪による動揺を無くし、ジャッキアップしたSEP船と同じ状況を作り出しています。
作業できる水深に制限があり、使用できる海域が限定されるのと安定性に不安はありますが、思いついた発想を行動に移す実行力は素晴らしいのかもしれません。中国以外では流行らないと思いますけど。
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