スコットランド沖Moray Westで全60基の風力タービン設置完了
2024年11月15日、スコットランド沖で建設が進められている「Moray West offshore wind farm」の事業者であるOcean Winds(EDP RenewablesとEngieの合弁会社)は、60基すべての風力タービン設置が完了したことを発表しました。
「Moray West offshore wind farm」では、Siemens Gamesa製の風力タービン「SG 14-222 DD」60基と2基の洋上変電所を設置する計画となっており、風力タービンはパワーブーストにより14.7MWへ出力が引き上げられるため、総発電容量は882MW。
建設段階は終わりに近づいており、当初の商業運転開始予定日に合わせて2025年に完全稼働する予定だという。
風力タービン設置作業をおこなったのは、1,600トン吊りSEP起重機船「Wind Orca」。1基目の風力タービン設置は2024年4月に発表されているので、60基の設置期間はおよそ7カ月。ざっくり計算すると、1ヶ月当たり約8.6基、拠点港としているナイッグ(Nigg)での積み込みを含めた1基当たりの設置日数は約3.5日。設置期間中に休止日があったのかどうかは不明ですが、作業は順調に進んだことを示しています。
1,600トン吊りSEP起重機船「Wind Orca」
CadelerのSEP起重機船「Wind Orca」は、2023年10月から2024年3月にかけて5ヶ月間におよぶ大規模アップグレードを実施。新造クレーンを載せ替えたことによって吊り上げ能力は1,200トンから1,600トンへ増強、揚程は132mから160mへ増加。20MWの風力タービン設置が可能になりました。
船名 | Wind Orca |
クレーン能力 | (メインフック)1,600トン (補助フック)425トン |
揚程 | 160m(甲板上) |
長さ | 160.9m |
幅 | 49.0m |
深さ | 10.4m |
レグ長さ | 105m |
最大作業水深 | 60m |
ジャッキアップ 最大積載重量 | 11,000トン |
スラスター | (船尾)アジポッド 3.4MW×4 (船首)格納式アジマス 2.2MW×2 (船首)トンネル 2.2MW×2 |
速力 | 13ノット |
甲板スペース | 4,300m2 |
甲板強度 | 15t/m2 |
DPS | DP2 |
「SG 14-222 DD」60基のブレード180枚はすべてハルで製造
「Moray West offshore wind farm」で設置した風力タービン「SG 14-222 DD」60基のブレード180枚はすべてイギリスのハル(Hull)にあるSiemens Gamesaのブレード製造施設で製造。
2023年2月に長さ108mのブレード製造開始しており、ハルの施設では過去12か月間に600人以上を採用し、現在は約1,300人を雇用しているそうです。
【動画】SEP船「Wind Orca」による風力タービン設置
0:20あたりに映し出されるボトムタワーの設置作業で、接続ボルトを差し込んだ状態のまま据付していることに驚きました。こんな具合に設置してるんですね。
「Moray West offshore wind farm」の概要
名称 | Moray West offshore wind farm |
設置位置 | スコットランド沖合の北海 |
水深 | 22m~57m |
発電容量 | 882MW |
基礎構造 | 着床式、モノパイル |
タービンメーカー | Siemens Gamesa |
風力タービン | 14.7MW「SG 14-222 DD」(パワーブーストにより14.7MW) |
設置基数 | 60基 |
運転開始 | 2025年(2024年から段階的に運転開始) |
事業者 | Ocean Winds(EDP RenewablesとEngieの合弁会社)、Ignitis Group |
その他 | 洋上変電所2基 |
「Moray West offshore wind farm」は、EDP Renewables と Engie の合弁会社 Ocean Winds および Ignitis Group によって開発されており、Siemens Gamesa「SG 14-222 DD」60基、洋上変電所2基の設置を計画している。変電所2基を含むすべての基礎は、モノパイルを採用。総発電容量は882MW、風力タービンの単機出力はパワーブーストにより14.7MWへ引き上げられる。
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