世界最大となるVan OordのSEP船「Boreas」引き渡し

世界最大となるVan OordのSEP船「Boreas」引き渡し 起重機船、クレーン船
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世界最大となるVan OordのSEP船「Boreas」引き渡し

2025年1月8日、中国のYantai CIMC Raffles Offshoreで建造したVan OordSEP起重機船Boreas」が完成し、引き渡しがおこなわれました。

SEP起重機船「Boreas」の船体寸法は長さ175.1m、幅63m、深さ13.2m。クレーン能力について引き渡しを発表したプレスリリースでは3,000トン以上と説明されていますが、ウェブサイトに掲載されているリーフレットによると、メインクレーンの最大吊り上げ能力は3,200トン。メインクレーン先端には500トン吊りの補助フックを備えており、甲板上には他に32.5トン、20トン吊りの補助クレーンが設置されている。トラス構造のレグは長さ126mで最大水深70mの海域で作業が可能。

3,200トンというクレーンの最大吊り上げ能力は、完成しているSEP起重機船のなかでJan De NulのSEP起重機船「Voltaire」と並び世界最大。最大20MWの風力タービンを設置することが出来るという。

今後、引き渡しがおこなわれたSEP起重機船「Boreas」は中国からオランダへ回航する予定となっており、オランダでは風力タービン基礎の施工に関する機器搭載などの最終的な艤装と命名式がおこなわれる。市場投入は2025年第3四半期の予定。

SEP起重機船「Boreas」の建造タイムライン
  • 2021年10月
    Van OordがSEP起重機船の建造を発表

    Yantai CIMC Rafflesとの建造契約締結

  • 2022年7月
    建造開始

    Steel Cutting Ceremony(鉄鋼切断式)

  • 12月
    起工式

    Keel Laying Ceremony(起工式)

  • 2024年5月
    進水
  • 7月
    メインクレーンおよびレグ設置完了
  • 11月
    海上公試(Sea Trial)

  • 2025年1月
    完成、引き渡し

  • 第3四半期
    市場投入(予定)

Wärtsiläのメタノールエンジンを搭載

Wärtsilä 32メタノールエンジン
出典:Van Oord

SEP起重機船「Boreas」の大きな特長として、Wärtsilä 32メタノールエンジン搭載によりメタノール燃料とMGO(Marine Gas Oil:低硫黄船舶用軽油)のデュアル燃料船であるという点が挙げられます。

従来の化石燃料を使用する方法に比べてCO2排出量を78%以上削減。加えて、高度なアクティブエミッション制御技術のSCR(Selective catalytic reduction:選択的触媒還元)によりNOx排出量を抑え、5,000kWhのバッテリーパック設置で燃料消費量をさらに削減できるという。

船名「Boreas」はギリシャ神話の風の神に由来

船名「Boreas」はギリシャ神話の風の神に由来しているという。

ギリシャ神話のアネモイ(Anemoi)という風の神たちは東西南北の各方角を司っており、その中で主要な4柱に含まれる「Boreas」は冷たい冬の空気を運ぶ北風を司る。

SEP起重機船は風力タービン設置に特化した作業船であることから船名には ”風” に由来する名前が付けられているようです。

ギリシャ神話の主要なアネモイ4柱
  • Boreas(ボレアース):冷たい冬の空気を運ぶ北風
  • Zephyrus(ゼピュロス):春と初夏のそよ風を運ぶ西風
  • Notus(ノトス):晩夏と豊かな秋を運ぶ南風
  • Eurus(ヘーシオドス):東風、いかなる季節とも関連付けられていない

SEP起重機船「Boreas」の概要

SEP起重機船「Boreas」
出典:CIMC Raffles Offshore
船名Boreas
総トン数47,617トン
載貨重量トン数20,000トン
クレーン能力主:3,200トン
補助:500トン
揚程155m
長さ175.1m
63m
深さ13.2m
喫水8.4m(スパッドカン含む)
レグ長さ126m
甲板面積7,150m2
居住設備シングル:121室
ダブル:7室
DPSDP Class 2
プロペラアジマススラスター:4,000kW×4基
格納式スラスター:2,700kW×2基
バウスラスター:2,700kW×2基
速力12~13ノット
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