下関市の旭洋造船で建造中の新捕鯨母船「関鯨丸」進水式
2023年8月31日、国内で唯一商業捕鯨をおこなう共同船舶株式会社が、老朽化した現行の「日新丸」に代わる新たな捕鯨母船として建造している「関鯨丸」の進水式がおこなわれました。
新捕鯨母船「関鯨丸」の建造を手掛ける下関市の旭洋造船では、進水式の式典に伴い全長約113mの船体が披露されました。甲板上の設備については大部分がまだ塗装されておらず組み立てられた鋼板のままですが、船体の外板部分は青と赤の2色で綺麗に塗り分けられ、船首部分には真っ白な文字で「関鯨丸」の船名が描かれている。
式典では、強風のため実際に船を海に浮かべる進水作業は延期されたようですが、命名披露や支鋼切断などのセレモニーがおこなわれ、関係者からは喜びの声が上がったという。
「関鯨丸」の建造は2023年2月に安全祈願がおこなわれ着工。2023年6月には起工式がおこなわれ、別々に建造した船殻ブロックをドック内で組み立てる作業を開始。当初予定の建造スケジュールでは2023年9月に進水予定だったので、予定通りもしくは少し前倒しで建造は進捗しており順調に進んでいるようです。
- 2023年2月着工、安全祈願式
- 2023年6月起工式
- 2023年9月進水
- 2024年3月竣工・引き渡し
日本では支鋼切断に銀の斧を使用する
新捕鯨母船「関鯨丸」の概要
新造する捕鯨母船は、現在所有している捕鯨母船「日新丸」の老朽化に伴うもので、船名は「関鯨丸」。船名の由来は、下関市の「関」と「鯨」の字を使い、新しい母船を下関に「歓迎」するという意味が込められているという。新造捕鯨母船は2024年3月に引き渡し予定。
船名 | 関鯨丸 |
総トン数 | 約8,970トン |
長さ | 112.6m |
幅 | 21m |
速力 | 12ノット |
定員 | 91名 |
航続距離 | 7,000海里 |
建造費用は約60億~70億円。全長112.6m、幅21m、定員91名、速力12ノット、航続距離は7,000海里で南極海への到達が可能。船尾部分にはスリップウェイ方式の揚鯨設備があり揚鯨ウインチを使用して70トンの揚鯨ができる。将来的な大型鯨種の捕獲枠追加にも対応。
捕獲した鯨を船内で鯨肉原料として生産して貯蔵する保冷庫は従来の巨大冷艙から複数のリーファーコンテナへに変更し、冷凍鯨肉が少ないときの電力消費量を抑えることが可能。20フィートコンテナ40基、袋製品保冷庫60tで合わせて860トンの冷艙容量を備えている。
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