日本郵船が風力タービンメーカーのSiemens Gamesaと作業員輸送船(CTV、Crew Transfer Vessel)1隻に関する定期傭船契約を締結。運航を予定しているのは、石狩湾新港で建設が進められている洋上風力発電施設への作業員輸送。
日本郵船がSiemens GamesaとCTVの定期傭船契約を締結
2023年2月15日、日本郵船は世界的な風力タービンメーカーであるSiemens Gamesaと作業員輸送船(CTV、Crew Transfer Vessel)1隻に関する定期傭船契約を締結したと発表した。現在、北海道で建設中の石狩湾新港洋上風力発電施設が予定している2023年12月の運転開始に合わせて、洋上風力発電施設への作業員輸送に従事する。
作業員輸送船(CTV、Crew Transfer Vessel)の保有は日本郵船が行い、船舶管理はグループ企業の北洋海運株式会社が行う。
日本郵船によると、CTVは日本において洋上風力発電設備の建設開始が本格化する2026年頃から約20年で100隻を超えるマーケット規模になることが予想されているそうです。国内初のCTV運航を足掛かりとして、今後拡大が見込まれる洋上風力発電事業への一層の展開を目指すとしている。
全長27mのCTVはインドネシアで建造
運航予定のCTV(Crew Transfer Vessel)と呼ばれる作業員輸送船は、インドネシアのPT Kim Seah Shipyard Indonesiaで建造予定。余談ですが、同じバタム島内には「CP-16001」を建造しているPaxoceanが近くにあり、直線距離で4kmしか離れていない。
CTVの全長は27.1m、幅9.0m、乗客定員12名。
親会社のPenguin Shipyard Internationalのウェブサイトに掲載されている船舶仕様の中で「WindFlex-27」というCTVの船体寸法がほぼ同じなので、建造するのはこのタイプと推測される。
「WindFlex-27」は、アルミニウム船体のカタマラン(catamaran)と呼ばれる双胴船で、2艘の船をつないだ形状は高速航行時の高い安定性が特徴。
船体の材質に軽量なアルミニウムを使用しており、設計喫水は1.4m。推進装置はHamiltonJetのウォータージェット「HM521」を4基搭載し、最高速力は29ノット。船上には120m2の甲板貨物エリアがあり、20トンまで積載可能。
石狩湾新港洋上風力発電施設について
CTVの運航が予定されているのは、北海道の石狩湾新港から沖合へ1.6kmに建設が進められている石狩湾新港洋上風力発電施設。風力タービン基礎は着床式でモノパイルではなく、ジャケット式を採用。設置される風力タービンは、Siemens Gamesaの「SG 8.0-167 DD」。
8MW風車を14基設置する計画で、総発電容量は112MWになりますが、陸上送電網へ供給する接続容量は99MW。電力需給事情や電力系統の制約により相当量発生するとみられる余剰電力は、陸上に設置する大型蓄電施設で充電するほか、水素サプライチェーン構築の事業実現性及び実証事業の検討を行う予定。
2023年12月に運転開始予定。
風力タービン設置は清水建設の「BLUE WIND」
2022年10月に完成後、広島の江田島付近で習熟訓練を行っているSEP起重機船「BLUE WIND」。石狩での作業前に、富山県下新川郡入善町で3MW風車3基の基礎と風力タービン設置を行う予定。石狩湾新港洋上風力発電施設で作業をおこなうのは、2023年の春以降になるという。
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