RWEは、洋上風力市場向けの新しいモジュール式自立型クレーンシステムを開発しているノルウェーを拠点とするWindSpiderと意向書(Letter of Intent)を締結。内容は、着床式と浮体式の両方で、洋上・陸上の風車タービン設置及び部品交換に使用できる自立型クレーンシステムの開発を支援するというもの。
RWEが風車タービンの自立型クレーンシステム開発を支援
2022年12月16日、RWEとノルウェーを拠点とするWindSpiderは意向書(Letter of Intent)を締結したことを発表。内容は、WindSpiderが開発している自立型クレーンシステムを支援するというもの。着床式と浮体式の両方を対象とする自立型クレーンシステムは、洋上・陸上の風車タービン設置及び部品交換に使用することを目的としている。
モジュール式自立型クレーンシステム「WindSpider」
WindSpiderの製品情報を確認すると、モジュール式自立型クレーンシステムWindSpiderには、設置用の「WindSpider Pro」とメンテナンス用の「WindSpider Lite」がある。どちらも風車タワーをクレーンの一部として利用する構造で、タワーに取り付けられたマストセクションを使用して上下に移動させることが可能。
「WindSpider Pro」に搭載されるクレーンの吊り上げ能力は、1,200トン以上を想定していて次世代風車の設置が可能な設計。
メンテナンス用の「WindSpider Lite」は、吊り上げ能力150トンのクレーンを搭載し、ブレードやギアボックス、その他の部品の修理や交換に対応。
メンテナンス用としては実用性あり?
「WindSpider」の実用性を洋上風車の着床式と浮体式で考察。
タワー部材をクレーンの一部として利用する構造上、着床式と浮体式の両者ともに基礎部分の施工を行うことは出来ない。「WindSpider」の細かい組立手順が不明ですが、新規の風車設置となると基数もそれなりにまとまった数があると思うので、着床式については従来のSEP起重機船を使用する施工の方が効率的な気がします。浮体式の方は、そもそも新規の風車タービン組立を現地で行うという前例があまりなく、水深の確保された港内で組み立てた後に現地へ曳航するという方法が多い。港内での組立に「WindSpider」を使用するメリットはそこまで無さそう。
ただ、メンテナンスのことを考えると実用性があるのかも。クレーンを使用する部品の修理や交換がどのくらいの頻度で行われるのかは分かりませんが、スポット的に少数の風車で必要なら可能性があるかもしれません。
洋上で運搬船の動揺がある中、既設の風車タワー近くに部材を設置したり、タワー付根にある限られた狭いステージで資機材の受け渡しを行わなければならないので、それなりのリスクはありそう。
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