「BLUE WIND」とほぼ同仕様のSEP船、完成間近
中国の招商局重工(CMHI)で建造している2,500トン吊りSEP起重機船「Seaway Ventus」で傾斜試験が完了し完成・引き渡しが近づいているようです。
「Seaway Ventus」の船体設計を手掛けているのは、GustoMSC。日本のSEP船でも多く採用されており大林組・東亜が建造した「柏鶴」を除く全船、といっても3隻だけですが「CP-8001」「CP-16001」「BLUE WIND」で採用されている。
「Seaway Ventus」に搭載するクレーンは、2,500トン吊りで「BLUE WIND」と同じ。そして、大きな特徴となるジブが伸縮するテレスコピッククレーンという点でも両船は同じ仕様となっている。

出典:GustoMSC

出典:Japan Marine United Corporation
違いがあるのはクレーン拡張時の能力
| 船名 | Seaway Ventus | BLUE WIND | 
| クレーン能力 | 2,500トン | 2,500トン | 
| 揚程(ジブ格納) | 116.5m (2,500トン) | 116.5m (2,500トン) | 
| 揚程(ジブ拡張) | 156.0m (1,600トン) | 158.5m (1,250トン) | 
| 長さ | 142m | 142m | 
| 幅 | 50m | 50m | 
| 深さ | 11m | 11m | 
| レグ長さ | 109m | 90m(最大109m) | 
| DPS | DP2 | DP2 | 
| 最大乗船人数 | 130人 | 130人 | 
2隻の船体寸法には、ほとんど違いが見られない。少し違うのは搭載しているテレスコピッククレーンを伸ばした拡張時の能力。「Seaway Ventus」は揚程156.0mでクレーン能力1,600トンに対して、「BLUE WIND」は揚程158.5mでクレーン能力は1,250トン。
2,500トン吊りのテレスコピッククレーンを製造した南通润邦重机有限公司(Nantong Rainbow Heavy Machineries)の掲載記事を見る限り、2隻のクレーンを製造したのは恐らく润邦重机。
2,500トン吊り自航式SEP起重機船「Seaway Ventus」
| 船名 | Seaway Ventus | 
| クレーン能力 | 2,500トン | 
| 揚重高さ(2,500トン仕様) | 116.5m | 
| 揚重高さ(1,600トン仕様) | 156.0m | 
| 長さ | 142m | 
| 幅 | 50m | 
| 深さ | 11m | 
| 喫水 | 6.2m | 
| デッキスペース | 4,600m2 | 
| レグ長さ | 109m | 
| 最大作業水深 | 65m | 
| アジマススラスター | 3,500kW×3 | 
| トンネルスラスター | 3,000kW×3 | 
| 最大航行速度 | 10ノット | 
| 宿泊設備 | 130名 | 
| DPS | DP2 | 
- 2021年11月First Steel Cutting Ceremony 鉄鋼切断式中国の江蘇省にあるCMHI(China Merchants Heavy Industry)で建造開始 
- 2022年6月Keel Laying Ceremony 起工式(キール敷設)
- 2023年1月Launching 進水式
- 2023年3月メインクレーン設置完了
- 2023年7月傾斜試験完了
- 近日中Delivery 完成・引き渡し
建造開始時に発表されていた完成予定は2023年第2四半期なので決算月が12月だとすると完成は4~6月。なので少し遅れてますが、3月決算だと7~9月なので予定通りともとれる。どちらにしても、ほぼ当初の予定通り建造が進捗し、順調に完成へと向かっていることが分かります。
テレスコピッククレーンを採用した世界的にも珍しいSEP起重機船「Seaway Ventus」。日本の「BLUE WIND」も同様ですが、その特異な仕様を活かした活躍が期待されます。SEP船2隻の仕事ぶりによっては、今後も同じような仕様のSEP船が建造されるのかどうかが変わってくるのかも。
























 
       
       
      








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