DPSを搭載した養殖プラットフォーム「湛江湾一号」建造開始
2024年4月8日、DPSを搭載した養殖プラットフォーム「湛江湾一号」(Zhan Jiang Wan Yi Hao)の建造が開始されました。
船体形状は長さ154m、幅44m、深さ24.25mで養殖水域は8万m3。プラットフォームにはアジマススラスター、サイドスラスターがそれぞれ2基装備されており、自航式でDP-1のDPS(Dynamic Positioning System:自動船位保持装置)を搭載。自航式という特長から洋上を巡航して養殖することが可能で、従来のプラットフォームのように長期間一定の場所で養殖するために係留することもできる。
船上に設置した太陽光パネルおよび風力発電設備により発電したクリーンエネルギーは、船内電力として最大限活用されるということなので、必要電力の全てをカバーできる訳では無さそう。
湛江湾実験室による独自開発
湛江市人民政府が発表した情報によると、養殖プラットフォーム「湛江湾一号」は湛江湾実験室(Zhanjiang Bay Laboratory)が独自開発したという。湛江湾実験室は、広東省の党委員会と省政府によって2018年11月に設立され、国の主要政策を支援するためにイノベーション主導の海洋電力開発戦略を実施することを目的として立ち上げられた機関。
これまでに、6.2MW浮体式風力タービン「扶揺号」のプロジェクト参画や12万m3の巡航養殖船に関するAIP取得などの実績があり、2023年12月には開発を手掛けた直径74m、高さ79m、養殖水域8万m3の養殖プラットフォーム「海塔一号」の建造が開始しています。
複合養殖船「九洲一号」に似ている?
湛江市人民政府の掲載情報では、世界初のDPS搭載養殖プラットフォームと紹介されていますが完成イメージの画像を見た瞬間、以前にも見たことある様な・・と思いました。
「湛江湾一号」に似ているのは「九洲一号」。2023年10月に同じ広東省で建造が開始されています。湛江と珠海で微妙に細かい場所は違いますが完成イメージを見るとほぼ同じ。
船名 | 湛江湾一号 | 九洲一号 |
長さ | 154m | 155.8m |
幅 | 44m | 44m |
深さ | 24.25m | 24.25m |
養殖水域 | 80,000m3 | 80,000m3 |
船体の長さが少し違いますが、その他の形状および養殖水域は同じ。
違いがある点として、「九洲一号」の方は船上で観光サービスを提供することから船体中央部分の居住設備が広く設計されているように見えます。
同じ広東省の中でそっくりな養殖船の建造が先に開始されているのに、世界初と紹介してしまうのは不思議でしょうがない。
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