海に沈んだ船を引き上げる5つの方法

海に沈んだ船を引き上げる5つの方法 事件・事故

「セウォル号」引き上げ(水深44m)

水深44mから引き上げられたセウォル号

 2014年4月14日、韓国の仁川港から済州島へ向かっていた大型旅客船「セウォル号(世越、SEWOL)」が全羅南道珍島郡の観梅島(クァンメド)沖海上で転覆・沈没した事故。

 沈没位置は水深44mの海底。セウォル号の大きさは全長146.61m、幅22.2m、総トン数6,825トン。重量は不明な部分がありますが、引き上げ時の鋼材を含めて14,592トンと言われています。

引き上げ方法

 全長146mの船体を分割せずに一括で引き上げる作業は前例が無く、非常に困難なプロジェクトだったようです。

 採用されたのは、台船2隻で海底のセウォル号を挟み込むように係留し、事前に海底を掘削しながら設置した吊上げ用架台(lifting beams)33本に甲板上からワイヤーをセットして引き上げるという方法。

 強度的に信頼できる吊上げ用架台なので設置できれば安心ですが、設置作業に長い時間を費やしたようです。

 引き上げ後に、台船より大きな半潜水台船をセウォル号の下に配置して搭載。陸揚げする岸壁へ運搬。

 岸壁への陸揚げは自走式多軸台車(SPMT)と呼ばれる重量物運搬特殊車両を使用。最大積載重量20トン~60トンのSPMTを480台も使ったそうです。

引き上げに使用された作業船

 使用されたのは主にクレーン船、潜水支援船、半潜水式重量物運搬船など

クレーン船

2,500トン吊りクレーン船「大力号」

吊上能力2,500トン吊
長さ100.0m
38.0m
深さ9.0m
建造年1980年
所有会社Shanghai Salvage
潜水支援船

「深潜号」

長さ125.7m
25.0m
深さ10.6m
建造年2012年
所有会社Shanghai Salvage
搭載設備・ヘリコプター離着陸プラットフォーム
・クレーン 140トン(能動式波浪浮き沈み補償)
      350トン(A型ガントリー)
・DPS class2
・300m飽和潜水設備
・潜水艇(最大水深3,000m)
半潜水式重量物運搬船

 載荷重量 72,148t「WHITE MARLIN」

総トン数51,065トン
載貨重量トン数72,148トン
長さ216.70m
63.00m
深さ13.0m
喫水10.00m ~ 26.0m
建造年2015年
所有会社Royal Boskalis Westminster N.V.
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