SEP船「BRAVE TERN」と接触した造船所のクレーン倒壊

SEP船「BRAVE TERN」と接触した造船所のクレーン倒壊 事件・事故
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SEP船「BRAVE TERN」と接触した造船所のクレーン倒壊

2024年11月23日早朝、スペインのNavantia造船所でアップグレード作業をおこなっていたFred. Olsen WindcarrierSEP起重機船Brave Tern」が造船所のジブクレーンと衝突して倒壊させるという事故が発生。

SEP起重機船「Brave Tern」は、Navantia造船所でクレーン能力を800トンから1,600トンへ増強する大規模アップグレードを実施しており、造船所の岸壁から離岸する作業中に事故が起きたようです。「Brave Tern」に搭載されたHuisman製の新造クレーン先端が造船所の25トン吊りジブクレーンに引っ掛かったような状態で接触し、そのまま海側へ引き倒して倒壊。

Fred. Olsen Windcarrierは保有するSEP起重機船「Bold Tern」のアップグレードに続き、「Brave Tern」でも同様のアップグレード実施を2022年1月に発表しており、当初の予定では2024年に完了する見込みでした。今回の事故による影響でスケジュールに変更があるのかどうかは不明。

アップグレードにより船体から大きく飛び出たクレーンが事故要因?

アップグレード前(800トン吊り)
出典:Fred. Olsen Windcarrier
アップグレード後(1,600トン吊り)
出典:LA VOZ DE GALICIA S.A.

Navantia造船所幹部によるものとして報道されている情報では、負傷者は報告されておらず、ジブクレーンが倒壊しているものの事態は収束しているという。さらに事故は突風や波浪による環境要因ではなく、操縦ミスによるものだと報じられています。

SEP起重機船「Brave Tern」はアップグレードによりメインクレーンを載せ替えることによって、クレーン能力を800トンから1,600トンへ増強することに加えて、メインフックの揚程が甲板上から157.5m、最大400トン吊りの補助フックの揚程は166.5mへ大幅にアップ。

アップグレード前後の画像を見ても分かるように、メインクレーンをジブレストした状態の船体から飛び出した部分が以前とは比べ物にならないほど長くなっていることが分かる。

風力タービン大型化に対応するため、既存船の揚程を増やすアップグレードや新造船に関しても船体より長いジブを搭載したSEP船が多く建造されており、港内での同種事故はこれから多く報告されるかもしれません。

SEP起重機船「Brave Tern」の概要

SEP起重機船「Brave Tern」
出典:Fred. Olsen Windcarrier
船名Brave Tern
クレーン能力1,600トン
揚程メインフック:157.5m(1,600トン、甲板上)
 補助フック:166.5m(400トン、甲板上) 
長さ132m
45m
深さ9m
レグ長さ92.4m
最大作業水深60m
速力12ノット
DPSDP2

【動画】ジブクレーンが倒壊する事故の瞬間

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