ドイツのArcadis Ost 1で最初の電力生産と供給を開始

ドイツのArcadis Ost 1で最初の電力生産と供給を開始着床式

 ドイツで建設が進められている発電容量257MWの洋上風力発電所Arcadis Ost 1で最初の電力生産と供給を開始。2023年後半に全機が稼働すると最大30万世帯の電力をまかなうことが期待されている。

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ドイツのArcadis Ost 1で最初の電力生産と供給を開始

RNAによるThialfでの洋上風車設置
出典:Heerema Marine Contractors

 2023年1月17日、ドイツのリューゲン島から北東へ約19kmのバルト海で洋上風力発電所Arcadis Ost 1の開発を進めるParkwindは、最初の洋上風車通電に成功し電力を生産、1月12日からドイツの送電網に電力の供給を開始したことを発表。

 2023年後半に出力9.5MWのVestas V174-9.5MW 27基が全て稼働すると最大30万世帯の電力をまかなうことが出来る。

 洋上風車基礎のモノパイル設置は、2022年6月から5,000トン吊りクレーン船「ORION」によって開始され、同6月に4,000トン吊り起重機船「Gulliver」により高さ30m、重量2,380トンの洋上変電所設置。8月にはケーブル敷設が開始され、昨年11月末から14,200トン吊りクレーン船「Thialf」によるRotor Nacelle Assembly (RNA) installation methodと呼ばれる斬新な方法で風車タービンの設置が開始された。

「ORION」によるモノパイル設置と「Gulliver」による洋上変電所設置の過去記事

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着床式洋上風車をSEP起重機船以外で施工する理由

 洋上風力発電所Arcadis Ost 1で設置されている風車は着床式。最大水深45mなので条件だけ見るとSEP起重機船による施工が可能ですが、風車基礎のモノパイル設置、風車タービン設置の両方をSEP起重機船以外で施工を行っています。

Arcadis Ost 1の海底地質
出典:Youtube | DEMEGroup

Youtube動画リンク先:DEMEGroup | Arcadis Ost Orion

 その理由は海底地質条件にある。軟弱な海底地層が厚いためSEP船によるジャッキアップが困難で、地盤反力も不安定。仮にジャッキアップできたとしても移動に時間がかかるため施工サイクルを考えると非効率的になってしまう。

 この問題に対処するため、モノパイル設置を行った「ORION」には最大2,500トンの重量に対応した動作補償機能が付いたパイルグリッパーを搭載。設置したモノパイルは直径10m、長さ110m、重量2,000トン以上。「ORION」には、吊り上げ能力5,000トンのクレーンに加えてDP3の自動船位保持装置を搭載しており、SEP船以外の浮いた状態のクレーン船で尚且つ、DP制御という条件下でXXLモノパイルを世界で初めて設置したことになる。

 風車タービン設置を行った「Thialf」では、Rotor Nacelle Assembly (RNA) installation methodと呼ばれる斬新な方法が採用され、SEP船以外でも風車タービンの設置を効率よく安全に施工できる工夫が施されている。

 洋上風車の設置をSEP船以外のクレーン船を使用して、SEP船と同じくらい安全に施工できるなら効率を考えると理想的なのかも。SEP船のジャッキアップ、ジャッキダウンには非常に時間がかかります。

ジャッキアップ速度
  • 「BLUE WIND」 レグ昇降時:1.2m/分、船体昇降時:0.8m/分
  • 「CP-8001」 0.4m/分

 仮に水深40mの海域で水面から8m船体をジャッキアップさせる時に必要な時間は、「BLUE WIND」で約45分、「CP-8001」で1時間40分。「BLUE WIND」は案外スピーディー。

 日本の大型起重機船でも係留作業には1時間以上かかるので、係留・係留解除に必要な約2時間をDP制御によって削減できることは大きな効果があり、施工効率向上につながる。この先、将来的にはSEP船とDPSを搭載したクレーン船、どちらの需要が伸びていくのかは分かりません。

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