2022年9月27日にNOV、GustoMSCから発表された洋上風力タービンのブレード設置に特化したSEP船「Sjøhest」。大型SEP起重機船でタワーとナセルを設置、そしてブレードのみSEP船「Sjøhest」で設置する。メリットはありますが費用対効果を考慮して需要があるかどうかは微妙かもしれません。
ブレード設置に特化したSEP船「Sjøhest」
NOV、GustoMSCが発表した洋上風力タービンのブレード設置効率向上の為に開発された設置船(WBI,Wind Blade Installation)。
名前は「Sjøhest」。ノルウェー語で「タツノオトシゴ」という意味。英語だと「Seahorse」。
タツノオトシゴの尾は長く、普段はその特徴的な尾を海藻やサンゴなどに巻き付けて体を固定しています。ブレード設置船「Sjøhest」も風車タワーにリーダーブームを固定してブレードを設置する、という動きが似ているのが名前の由来だそうです。
NOV introduces the Sjøhest Wind Blade Installation solution
(NOV が Sjøhest 風力ブレード設置ソリューションを発表)
NOV introduces the Sjøhest Wind Blade Installation solution
余談ですが、2018年にGustoMSCはアメリカのヒューストンに拠点を置くNOV Inc.(National Oilwell Varco, Inc.)に買収されていました。
ブレード設置作業のCG動画
ブレード設置船「Sjøhest」によるブレード設置作業のCG動画。動画で見ると動きは理解しやすい。
SEP船のベースはNG-5500XL
ブレード設置船「Sjøhest」は、GustoMSC の NG-5500XL をベースにした船体に小型のハンドリングクレーン、ブレードラック、伸縮式リーダーブームを搭載。
GustoMSC の NG-5500 シリーズは実績のある設計で、以下のSEP船で採用されている。
参考までに、GustoMSCの設計が採用されている日本のSEP起重機船。
「Sjøhest」ブレード設置ソリューションの利点
記事の中でいくつかの利点が挙げられていますが、中には新たな発想に繋がりそうなものもありました。
- 設置が大幅に高速化、工期短縮につながる
- ブレード積み込みはRORO方式採用、港に積み込み用クレーン不要
- タワー、ナセルとブレードを別々の港にストック可能
- 小型SEP船を引き続き稼働させることが出来る(寿命延長)
- あらゆるSEP船に取付可能
タービン大型化に伴って活躍できなくなったSEP船をブレード設置船として変換するのは今後あり得るのかも。それと、タワーやナセルに比べて重量は軽いが広い面積を必要とするブレードを違う港にストックできるのはメリットありそう。
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