Jan De Nulが中国のCMHI Haimen造船所で建造していた5,000トン吊りクレーンを搭載した自航式クレーン船の引き渡しが行われ、ヨーロッパに向けて出港。SEP船以外の洋上風車設置船としてはDEMEが所有する「ORION」と並び世界最大のクレーン能力で今後の活躍に期待が高まる。
Jan De Nulの次世代洋上風車設置船「Les Alizés」完成
2023年1月19日、Jan De NulがCMHI Haimen造船所で建造していた自航式のクレーン船「Les Alizés」がヨーロッパへ向けて中国を出港。2020年12月に”First steel cutting”、2022年1月に進水、2023年1月16日に引き渡しが行われていた。
今後はヨーロッパに到着すると、ドイツの Gode Wind 3 と Borkum Riffgrund 3 で洋上風車基礎106本と洋上変電所基礎1本の計107本のモノパイル設置と洋上変電所トップサイド設置が予定されている。
「Les Alizés」の概要
「Les Alizés」に搭載されているクレーンは信頼と実績のHuisman製。吊り上げ能力は5,000トンで先端の補助フックは1,600トン吊り。甲板上にはXXLモノパイルに対応した大型パイルグリッパーやHuisman製のユニバーサルクイックコネクタなど最新技術を取り入れた設備が搭載されています。
特徴的なクレーンジブの形状。
Huismanが5,000トン吊りクレーンの製造契約を締結した時に発表した記事を見るとジブはトラス式になっていましたが、実際に完成したジブは箱形。これはこれで見た目の威圧感やカクカクしたデザインといい個人的には好きです。
5,000トン吊りクレーン船「Les Alizés」の概要
船名 | Les Alizés |
クレーン能力 | (主)5,000トン (補)1,500トン |
揚程 | (主)125m (補)167m |
長さ | 236.8m |
幅 | 52m |
深さ | 16m |
喫水 | 10.5m(最大) |
DPS | DYNAPOS-AM/AT-R (Class 2 相当) |
載貨重量トン数 | 61,000トン |
貨物甲板面積 | 9,300m2 |
甲板強度 | 30トン/m2 |
アジマススラスター | 3,000kW×4 |
格納式スラスター | 3,250kW×2 |
バウスラスター | 2,600kW×2 |
最大速力 | 13ノット |
宿泊設備 | 150人 (1×120室、2×15室) |
「Les Alizés」中国出港の様子
2023年1月19日、中国の造船所を出港してヨーロッパへ向かう「Les Alizés」。Twitterの投稿に添付されている動画には「Les Alizés」が離桟して出港する様子が撮影されていますが、造船所だけあって周囲には他の船舶がたくさんいます。
そこに、気になるクレーン船が2隻。
2,500トン吊りSEP起重機船「Seaway Ventus」と3,000トン吊り半潜水式クレーン船「Seaway Alfa Lift」。「Seaway Ventus」はつい先日、進水式が行われたばかり。「Seaway Alfa Lift」は建造中の事故で引き渡し時期が延期され、2023年後半完成予定。
余談ですが、同じJan De Nulの3,200トン吊りSEP起重機船「Voltaire」が中国を出港する時も、後ろには以前日本で活躍していた起重機船「洋翔」が映っていました。それだけ長江河口にある造船所周辺には作業船がたくさんいるという事なのかも。
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