入善洋上風力「BLUE WIND」による風力タービン設置開始
2023年5月9日、富山県下新川郡入善町沖で建設が進められている「⼊善洋上⾵⼒発電所」で3MWの風力タービン設置が開始されました。作業をおこなうのは、清水建設が巨額を投じて建造したSEP起重機船「BLUE WIND」で、建造後「⼊善洋上⾵⼒発電所」が初めてのプロジェクトになる。
国内最大のSEP起重機船「BLUE WIND」は、2022年10月の完成・引き渡しされ施工に向けた準備や習熟訓練を広島県の江田島・呉周辺でおこない3月中旬に出港、3月下旬に石川県七尾港に入港し資機材積み込みなどの準備を経て、4月にモノパイル打設を含む風力タービン基礎を設置していた。
8MW風車7基を10日で設置というセールスポイントはどこへ?
報道されている情報によると、今週中に風力タービン1基の設置を終えたあと拠点港にしている石川県七尾港に帰港。そして、来週に2基目の設置、5月下旬に3基目の設置を行う予定とのこと。この設置工程の緩さには驚きましたが、何か理由があるのでしょうか。
「BLUE WIND」の初施工現場という事もあり、作業に従事する多くの方がSEP船による施工が初めてなので、もともとの計画工程が緩かった可能性はあるかもしれません。さらに最近起きた地震による影響も何かしらあるのかもしれませんが、あまりにもゆっくりしてると感じてしまう。
清水建設のウェブページに掲載されている ”8MW風車7基を10日” で設置するという特徴とはかけ離れています。
予備日をみて8MW風車の場合は7基を10日、12MWの場合は3基を5日で据え付けることができます
https://www.shimz.co.jp/topics/engineering/item01/
プロジェクトの規模に合わせて最適化された施工方法の影響
最も工程に影響を与えているのは、恐らく施工方法。「⼊善洋上⾵⼒発電所」で設置する洋上風車は3基だけという事もありブレードラックは積まれていませんが、その代わり3枚のブレードとハブを地組して一体化した状態で積み込みが行われています。
この施工方法だと複数のタービン部材を積み込むことは出来なくなりますが、設置場所での手順は少なくなるので安全で効率的と言えるかもしれません。一体化したブレードを建て起こす作業の難易度は上がり、1基ごとにタービン部材を積み込むため岸壁に帰港するというロスが発生しますが、全体の設置基数が少数で基礎設置から風力タービン設置へ段取り替えによる使用資機材の積み替えなど全体的な効率を考えた結果が今回の施工手順と工程になっていると思われます。
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