中国で無人航行が可能な科学調査母船「珠海雲」が完成し、引き渡しが行われた。中国の記事では、海洋科学研究や観測を行う調査用の母船としていますが、なぜか船のトン数は軍艦で使用される排水トン数(displacement tonnage)が紹介されていました。
中国で無人航行が可能な無人水上艦「珠海雲」が完成
2023年1月12日、海上試験を終えた「珠海雲」(ZHU HAI YUN)は、広東省珠海市の珠海高欄港に入港し、引き渡しが行われた。海上試験では、12時間連続の自律航行の中で障害物回避や計画経路の航行など動作テストが行われ、その結果は非常に良好だったそうです。
船名 | 珠海雲 (ZHU HAI YUN) |
排水トン数 | 2,100トン |
長さ | 88.5m |
幅 | 14.0m |
深さ | 6.1m |
航行速力 | 18ノット(最大) |
建造年 | 2023年 |
無人システム科学調査母船と呼ばれる「珠海雲」の全長は88.5m、幅14m、航行速力は最大で18ノット。船尾側には広い甲板スペースがあり、空中・海上・潜水の様々な観測装置を搭載可能。最大の特徴は、自律航行機能を備え、船が無人の状態でも遠隔操作が出来るという点。まさにドローン船と言える。
SpaceXが打ち上げたロケットのブースター部分を回収するために運用している自律型ロケット回収用ドローンシップにも遠隔操作機能が搭載されていますが、その機能を搭載する理由はロケット着陸時のリスクを回避するため。では、巨大な「珠海雲」を無人で遠隔操作する理由は何なんでしょう。と考えると軍事利用の可能性が高そう。
軍事利用の可能性
中国の記事で「珠海雲」の要目として排水トン数が紹介されています。通常、軍艦以外の船舶で排水トン数を使う事はほとんど無いので、その時点で「珠海雲」が軍艦として取り扱われているのではないかという違和感がありました。
無人システム科学調査母船「珠海雲」は、海洋測量、海洋観測、海上パトロール、調査・サンプリングなど広範囲に及ぶ海洋調査任務を行う予定ですが、搭載されている無人観測システムは監視や偵察といった目的でも使用することが可能。
無人水上艦(USVs,Uncrewed Surface Vessels)である「珠海雲」をドローン母艦として、軍事用ドローンを運用するという恐ろしい可能性も。
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