起重機船「Gulliver」による重量3,000トンの水門支柱設置

起重機船「Gulliver」による重量3,000トンの水門支柱設置 起重機船、クレーン船
スポンサーリンク

起重機船「Gulliver」による重量3,000トンの水門支柱設置

2024年3月30、31日の2日間に渡り、オランダのエイマイデン(IJmuiden)で4,000トン吊り起重機船「Gulliver」による重量3,000トンの水門支柱設置がおこなわれました。エイマイデン水門複合施設のビネンスパイ運河に設置がおこなわれた2基の柱は幅8m、高さ27.5m、重量3,000トン。

スケジュールでは柱の設置を4月3日と4日におこなう予定でしたが風況予報が悪く、安全な据付作業が出来ないという判断から施工業者の提案により作業の前倒しを決断したという。

2基の柱設置に30時間

起重機船「Gulliver」による製作ヤードでの吊り上げが開始されたのは3月30日の早朝。設置作業を実施した2日間は視界良好、風は穏やかで運河の水量・流速も問題なく、理想的な気象条件に恵まれたそうです。

順調に施工は進んだということですが、それでも2基の設置作業に要した時間は約30時間。2つのチームを編成し、合計100人以上が作業に携わった結果、無事に設置完了。

Zoutdam IJmuiden(エイマイデンの塩ダム)

2基の柱設置がおこなわれた施設はZoutdam IJmuiden(エイマイデンの塩ダム)と呼ばれるもので、北海から運河を通過してアムステルダム側に流入する海水の塩分抑制対策という狙いがあるそうです。過度な塩分は北海運河の生態系、自然、農業、園芸、飲料水に悪影響を及ぼす。

柱を設置した場所の水深は23m。柱と岸側の間に可動式の鋼製板を取り付けますが、下側には板を設置せず上側のみ水の流れを遮るという不思議な方法。塩を含んだ塩水が淡水よりも比重が重たくなり下に溜まる性質を利用して北海側に海水を送り戻す。

上手く海水を北海へ戻せるのか少し心配。施設の概要について👆上記の説明では分からないと思うので概要動画を参照してください。

スポンサーリンク

4,000トン吊り起重機船「Gulliver」

ベルギーのScaldis Salvage & Marine Contractors NVが所有する4,000トン吊り起重機船「Gulliver」。2018年に中国で建造。日本の大型起重機船と同じジブ固定式ですが、自航式でジブがスライドするという2つの大きな特徴がある。

船名GULLIVER
クレーン能力4,000トン
長さ108m
49m
深さ8m
プロペラ(船首)1,505kw×2
(船尾)1,720kw×2
速力7ノット
DPSDP(AA)
(Class2相当)
宿泊設備78人
建造年2018年
起重機船「GULLIVER」の概要
起重機船「GULLIVER」(2018年の建造時)
出典:Scaldis Salvage & Marine Contractors NV
スポンサーリンク
興味深い海の世界

あらゆるものが巨大な海の世界。
なかでもインパクトの強い画像を中心に海の世界を紹介。

スポンサーリンク
世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

Crane1000をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む